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- 2009/11/05 掲載
「合理的に実施可能な安全」を確保せよ--三菱総合研究所 主席研究員 木根原良樹氏
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事故や不祥事を起こすと、昔から会社がつぶれる可能性がありましたが、最近は事故や事件に対する社会の反応が以前よりさらに敏感になっています。情報の伝播が早いため、「そんな会社には任せられない」「そんな製品は使いたくない」など、消費者が賢くなっている傾向が見られます。第三者機関である事故調査委員会の監査システムが確立されてきたからです。
経営者の役割は、そうした消費者の目、第三者の目の中で、いかに事故や事件を起こさないようにするか、会社全体について目配りをすることです。しかし、経営者の任期が短くなっているので、経営者の考えが単視眼的になっていることを危惧しています。事故や不祥事は起きたその年が悪いというより、原因を遡ると10年、20年前から続いているので、過去、現在、将来と長期的にとらえて安全対策を考える必要があるでしょう。
──とはいえ、事故や事件を100%防ぐのは難しいと思いますが、経営者はどのように取り組むべきでしょうか?
経営者には、『合理的に実施可能な水準』を定めて自主的にマネジメントして欲しいと主張しています。『合理的に実施可能な水準』というのはイギリスで始まった言葉です。まず、少なくともトップが現在の自社の安全水準を何らかの形で知っておく必要があります。今月の売上のようにはっきりした数字で現れないとしても、過去に比べて上がっているのか、下がっているのか、他社と比較して進んでいるのかどうか、あるいは消費者が自社をどのように見ているのかなどについて、経営者自身でなくとも、直接肌で感じ取れる人の存在が重要だと考えています。
もう一つは、現在の安全水準が60点だとして、90点にするためにいかなる投資を行うべきか、経営の立場で判断することが重要です。現在の安全水準が40点だとして、これを60点に上昇させるためには100億円の投資が必要だとしましょう。そのための技術も十分に保有している、競合他社も投資を行っている、利益も200億円は出ている、とすれば、100億円の投資も理にかなっている、というのが『合理的に実施可能な水準』です。
これはなかなか難しいことですが、経営の他の面、たとえば新商品開発の現場では、どの企業でも、最もコストパフォーマンスの高いものを作ることを心がけ、あらゆる技術を集結し、他社との優位性を加味し、消費者ニーズも取り入れて「これなら売れる」と市場に投入することは当然だと思います。こうした多角的な考え方は、安全対策にも適用できることでしょう。
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