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- 2009/03/25 掲載
不況時にこそ攻めのIT活用を:大きな武器となるサーバ仮想化によるコストカット
IDC Japan ソフトウェア マーケットアナリスト 入谷光浩氏
2009年はIT投資の抑制が進む
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IDCでは、世界各国のIT投資について定期的に統計を行っている。この半年の間、今後のIT投資予測についての議論が絶えず行われてきた。リーマン破綻直後、北米と西欧でIT投資の予測を大幅に下方修正している。景気が悪くなれば企業は設備投資を控えることになり、ITも削減対象の優先順位では上位に挙げられるからである。その時、実は日本のIT投資については大幅な下方修正は行わなかった。当時はまだ日本経済について楽観的な見方も多く、限定的な範囲での影響と考えられていた。しかし、外需に依存している製造業の業績悪化が明るみになると、製造業はもちろんのこと他の業種の企業までもが一斉にIT投資の抑制に動いた。
IDCでは2月に国内のIT投資の予測について発表している(図1)。2008年11月時点での予測では、2009年は0.9%のプラス成長を見込んでいたが、その後の調査で徐々に実態が明らかになっていき、今年の2月時点では1.7%のマイナス成長に引き下げた。現在も調査を進めているが、事態は悪い方向に向かっており、さらなる下方修正を強いられる可能性が高い。
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図1:国内IT投資の成長率予測(出所:IDC Japan, 2009年2月) |
即効性があるコスト削減対策とは
業績の悪化が進む企業では大幅なコストカットが進められている。それは人件費からボールペン1本の購入にいたるまでさまざまで、ITも例外ではない。特に2008年11月以降、サーバやPCの出荷の落ち込みやシステム構築案件の延期や凍結など、IT業界は大きな打撃を受けている。企業の情報システム部門の立場で見てみると、経営陣からITコストの削減要求が非常に厳しくなっている。担当者はコスト削減ができるソリューションを探し求めており、それは即効性があり明確に効果が数字として見えるものでなければならない。
ITに関わるコストの中で最もコストを計算しやすいものがハードウェアである。IDCでは景気悪化以降、IT投資に関する緊急ユーザー調査を2回実施しているが、企業が最も多く削減対象としているのはハードウェアという結果が出ている。そうなると、まずはハードウェアの台数を減らすという案が最も分かりやすく短期的な投資対効果も計算しやすい。さらに、経営陣に対して稟議が通りやすく、担当者がすぐ行動に移すことができる。
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