- 2008/12/11 掲載
IT企業が不況を乗り切る10のポイント--米ガートナー
1)リスクとリターンを共有する価格オプションを提案する
リスクとリターンを顧客企業と共有することにより、予算が厳しい状況における顧客の財政的負担を軽減する。この戦略は競争市場における差別化要因となり、不要な値引き要求を避けやすい。
2)決算書に与える効果の観点からサービス価値をアピールする
顧客企業に投資家が厳しい目を注いでいる。こうした状況では、決算書に与える効果の観点からサービスの価値を数値化して提示できるかどうかが、受注確度を左右する。
3)IT支出の最適化に焦点を当てた商品/サービスを提案する
顧客や見込顧客の意志決定者 (CIO、CFO、部門長など) にとって最重要ミッションの1つは、IT支出の最適化である。したがって、ITサービス・プロバイダーは、IT支出の最適化に焦点を当てた商品/サービスを提案する必要がある。「最適化」の意味するところは、IT支出の短期的削減に終始することではない。むしろ顧客企業のビジネスの長期的成長に貢献するため、投資領域の選択と集中を促すことである。
4)顧客のリスク環境、リスク許容度、リスク管理アプローチを理解する
今後数年間、ITサービス需要を促進する重要な要因の1つは、リスク・マネジメントの領域である。リスクに関する意思決定支援サービスは、新たなビジネス機会となる。
5)経済危機に対する各国政府の方針と計画を迅速に把握する
世界的な経済危機への対応として、既に各国政府が金融市場に介入している。世界的に統一された対策を求める声の高まりから、重要な新しい政策が生み出される可能性がある。これはすなわち、顧客企業が新しい政策に対応することを支援するサービス機会が創出されるということである。
6)既存顧客との関係維持・強化に注力する
ガートナーの調査によると、経済低迷期の顧客企業の反応は、新たな挑戦・冒険を控え、信頼のおけるプロバイダーとの既存取引関係を維持する姿勢が前面に出やすいのだという。サービスにコスト競争力があることが前提ではあるが、プロバイダーにとっても、新規顧客の獲得よりも既存顧客との関係強化の方が効率的である。
7)従量価格型サービスへの移行機会を探る
顧客企業の業況変化 (ビジネス規模の拡大や縮小) に合わせた従量制の料金体系によって、顧客の経済的リスクを大幅に軽減できる。顧客企業がこうしたIT支出の変動費化を志向する場合、サービスとしてのソフトウェア (Software as a Service: SaaS) などの従量価格型サービスは、魅力的な調達オプションの1つである。
8)サービスインに伴う負荷を軽減する
経済面とビジネス面の両方でメリットを明示できる場合でさえも、サービスの導入に困難やリスクが伴うと、受注が困難になる。プロバイダーは、サービスが契約書どおりに提供されることを、目に見える形で顧客に示す必要がある。
9)イノベーションとプロセス改善のトレンドを常に押さえる
技術革新が続く限り、サービスの提供機会は枯渇することはない。またビジネス・プロセスの改善も経常的な企業ニーズである。プロバイダーにとって重要な点は、需要が顕在化するタイミングをいち早く知り、迅速にビジネス機会に結び付けることである。
10)新たな市場を創出する
ドットコム・バブル崩壊後に市場で生き残ったプロバイダーに共通するのは、それぞれ独自の市場機会を創出していることである。プロバイダーが新しい市場を創出するためには、市場ニーズを明確に理解するとともに、顧客を獲得し、サービスを提供するための新しいイニシアティブを確立することが重要である。
本発表内容について、ガートナーのマネージング バイス プレジデント クリスティン・アダムス氏はITサービスプロバイダーに、昨今の景気低迷時に決断を誤ると大きな代償を支払うことになると警鐘を鳴らす。
「プロバイダーはここで決断を誤ると、ビジネス機会とサービス提供力の両面で、大きな代償を払うことになるであろう。経済低迷が長期化する可能性も視野に入れて、プロバイダーが今すぐ起こすべき行動がいくつかある。ただ座して待つという姿勢は賢明ではない」
「好不況にかかわらず、ITサービスは一定の需要が見込める。とはいえ、不況期においてもビジネスの成長を維持するためには、機会を逃さず受注に結び付ける迅速な対応力が必要である。生き残るのは、削減されるIT予算枠の中から最大のシェアを獲得できたプロバイダーとなるであろう」
その他の詳細については、ガートナー・レポート「Dataquest Insight: Ten Ways to Position and Sell IT services in Uncertain Times(英語)」から閲覧できる。
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