- 2008/09/29 掲載
【レポート】労働生産性の向上にむけた「攻めの情報システム」で日本企業のグローバルな競争力を強化する
2008年9月10日(水)開催 「NEC Middleware Day 2008」 東京・セルリアンタワー東急ホテル
「生産性向上のためのIT活用」
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「ITの応用範囲は幅広く、経済全体を引っ張っていく力をもっています。特に金融や小売といった分野のイノベーションに、ITは大きな原動力となるでしょう。しかし現状は、米国に比べて日本は遅れており、充分な活用効果が出ているとはいえません」。
中でも立ち後れているのは、「生産性向上のためのIT活用」だと元橋氏は指摘する。
「ITを使った場合の生産性の伸びを比較すると、アメリカは4%、日本はその半分の2%にすぎません。率直に言って日本の企業は、まだITを生産性向上といった“攻め”のツールとして使いこなしているとはいえないでしょう」。
もちろんこの背景には、日本独特の企業風土があることも否めない。ボトムアップの情報伝達や水平情報共有、暗黙値の活用など、特性上ITとはなじみにくい土壌がある。
「しかしながら、IT革命以降は、ビジネスの複雑化、スピード化、そしてグローバリゼーションの進展といった、これまで経験したことのない大きな課題が次々に押し寄せてきています。好むと好まざるを問わずにITを用いて業務改革を進めていくのは必須の課題です」。
企業競争力を高めるツールとしてITシステムを活用
元橋氏は、今後わが国の企業経営は、IT活用には段階的な進化がある事実に着目すべきだと教える。
「段階には4つあります。とりあえず導入だけしてみる『第1ステージ』、会計ソフトなど特定業務で活用する『第2ステージ』、ERPのように企業組織単位での効率化を行う『第3ステージ』、そしてBIやデータ分析などを行って企業競争力強化に活用する『第4ステージ』の4段階です。日米企業の大きな差は、この最終段階である『第4ステージ』に達しているかどうかにあります。アメリカは、すでに第4ステージのフェーズに入っていますが、日本では上場企業の6割がいまだ第2ステージにとどまっているのです」。
ITの導入分野を見てもこのことは歴然だ。日本では基幹系システムのウェイトが大きく、アメリカは情報系システムにより大きな比重がかかっている。またIT戦略が経営戦略において明示的に示されている企業は特に生産性が高く、ITが生産性向上の上できわめて有効なツールである事実を示している。このことから元橋氏は、「ITシステムを効率化のツールとしてではなく、企業競争力を高めるツールとして活用することが重要です」と明言する。今あるビジネスを改善するだけでなく、「顧客を増やす、ビジネスを増やす」ことにこそ、ITの力を用いるべきだというのだ。
そのためには、経営意志判断に必要なデータの統合、可視化を行う情報ディレクターの存在と、データを適確に処理できるユーザーフレンドリーなシステムが必要であり、なおかつここでの分析結果を、企業の戦略的意志決定に活用していく組織が不可欠だという。
「しかしながら、現在の日本のCIOの地位はいまだ低いと言わざるを得ない状況にあります。まずはこの地位をもっと引き上げるべきです。そしてこのCIO=情報ディレクターの指示のもと、トップダウンで迅速かつ実効的なIT活用を促し、社内のITリテラシーそのものを高めていくことが、真の意味で戦略的なIT活用を実現するでしょう」。
最後に元橋氏は、「ITの有効活用、とりわけ経営戦略ツールとしての活用は、今後のわが国企業の成長力の源泉となります。日本企業の特性を活かしながら、従来の効率化からもう一歩踏み出した、競争力強化のためのIT活用を進めるための体制づくりと基盤整備を望みます」と締めくくった。
「攻めの情報システム」構築を力強くサポート
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岡田氏はまず、ユビキタス社会の進展により、企業間、組織間の柔軟な連携が加速した結果、企業を取り巻く事業環境は急速に変化している事実を指摘。さらに現在もっとも注目を集めるキーワードである「NGN」を中心にITとネットワークの融合が進み、「攻めの情報システム」による新ビジネスが創造されてくる。そこでは情報システムの役割もまた、単なる効率化のツールからビジネス創造の基盤そのものへと大きく変化を遂げるだろうと語った。
「こうした世の中では次々に新しいサービスが現れてきます。それも、企業間やビジネス分野をまたいだ、それまでにない、まったく新しい形態のサービスが現れてくるでしょう。異業種や官・民が連携した『Suica』などはその好例です。こうしたサービスを支えているのが『サービス化技術』であり、こうした複数のサービス化技術が組み合わさって、大きな『サービスプラットフォーム』を形成します。NECとしては、こうした情報システムとサービスの広汎な発展・拡大を支える、新たなサービスプラットフォームを提供していきたいと考えています」。
さらに岡田氏は、サービスプラットフォームにおけるミドルウェアの重要性について解説し、「ミドルウェア製品が多様なシステムモデルを支えます」と言う。
「ミドルウェアは、サービス(アプリケーション)と情報(データ)の仲立ちをする役目を担っており、実際のビジネスとしてサービスを成立させる要でもあります。NECはこうしたサービス化の潮流を捉え、『サービス実行基盤』、『セキュリティ対策ソフトウェア』、『ソフトウェア開発環境』、『情報管理ソフトウェア』、『統合運用管理ソフトウェア』といった多彩な製品をこれまでも提供、さらに今後はSaaSへの対応も含めてラインナップを充実させていきます」。
最後に岡田氏は、サービスプラットフォームを支え、ハードウェアとも密接に関係する プラットフォーム技術にもふれ、「仮想化、省電力、高可用プラットフォームといった、時代に即応かつ先取りした技術の開発もすでに鋭意進めています。製品提供だけにとどまらず、お客様の必要とするサービスプラットフォームをコンサルティング、構築からトータルに提供できる体制を整え、今後も『攻めの情報システム』を通じた、新ビジネスの創造をお手伝いしていきたいと考えています」と決意を語った。
≫【A-2&A-3講演】
ビジネスを止めないサービス実行基盤とリアルタイム意志決定のための情報管理ソフトウェア
≫【B-1&B-2講演】
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≫【基調講演動画】
「攻め」のIT戦略とは何か? 日米IT経営調査に見るIT活用の新たな潮流
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