- 2008/08/15 掲載
【セミナーレポート】WebSAM WORKSの結束のもとでIT運用管理における大きな協業成果を発表
2008年7月23日開催 「WebSAM WORKS DAY 2008」
≫WebSAM WORKS DAY 2008オンラインセミナー
「早期実現のための提携」がカギ
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井上氏はまず、同グループで実施した業界トップ企業35社へのCIOインタビューの結果をもとに、現在企業が抱えているIT課題を分析した。それによれば、IT投資におけるROIの判断基準は未だにあいまいで、判断にばらつきが出たり、予期しない追加投資が発生する。また、既存のシステム運用だけで手一杯なため新規のIT投資に回す費用や人的リソースが足りない。さらに、グループ内の各社が個別最適で動いているため、ガバナンスの面でも統制がとれないといった問題があることが判明したという。
「こうした状況を打開するために、企業ではIT承認を委員会によって行ったり、約4割の企業ではIT予算の判断基準を設定している。また従来ユーザー側(事業部門)にあったITの予算権限や人材配置を管理側(IT部門)に集約したり、システムオーナー制を導入して、権限の集中強化と責任所在の明確化を図るといった傾向に変わってきている」(井上氏)。
また、先進企業では、投資対効果を明確化するため全社でIT案件の順位付けを行ったり、優秀なIT人材の確保に向け7割の企業では情報システム子会社を設置、また外部ベンダの活用や各種人材育成を行うなど、さまざまな取り組みが紹介された。
井上氏はこうした国内企業の現状と課題を明らかにする一方で、ビジネスを取り巻くメガトレンドに注目しなくてはならないと説く。
「将来への影響が大きいメガトレンドにはいくつもあるが、今回は『デコンストラクション』『中国とインド』『地球温暖化』の3つにフォーカスしてみてみたい。まず、『デコンストラクション』とは経済活動のモジュール化の進展だ。バリューチェーンをいったんバラバラにして新しい形で再構築することで、この変化の中に新たなビジネスの契機を見いだすことができるだろう」と井上氏は語る。
また、「中国とインドは世界経済の成長を牽引していく立場にあり、2005~2030年の平均成長率は両国共に12~14%と目されている。この国々を相手にしていくには、たとえば、インドの超低価格車のような商品に対抗できる常識破りな商品戦略が必要になってくる」「環境に関しては、日本は先進的なスタンスを持っているが、同時に内在するリスクにも留意しなくてはならない。いずれにしても、企業はメガトレンドを推進する因子と制約する因子を考え、どの因子にビジネスチャンスが、そしてリスクがあるかを取捨選択していく必要がある」と述べた。
上記のようなトレンドへの視点を保ちながら、自社の強みを明確にし、同時に弱みを補強してくれるプレイヤー群と提携していくことが、最強のITサービスプロバイダになるためには不可欠であり、「自前主義による完全性」よりも「早期実現のための提携」に力点を置いた取り組みが重要であるとし、講演を終了した。
今後のグローバル対応を成功させる上で重要なアライアンス
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森氏はITシステムの置かれた現状として「企業のITシステムは複雑化の一途をたどっている。IT環境の急速な変化やハードウェアの増加、ネットワーク環境の複雑化、そして仮想化などの急速に発展するテクノロジーといった要素が絡み合う中で、次々に継ぎ足しの形でシステムが拡張されてきてしまった結果、ITシステム部門の管理負担はふくらむ一方だ」「属人的な運用は限界にきており、システム強化を進める一方でこうした管理コストを押さえつつ安定稼働を実現する仕組みづくりが要望されている」と語る。
こうした運用を実現できるのが、「NECの提供する統合運用管理ソフトウェアWebSAMだ」と森氏は言い切る。WebSAMはこれまで運用者の経験値や勘に頼っていた管理業務を、具体的な管理数値として「見える化」し、それに対してソフトウェアに蓄積したナレッジをもとに「判断」、そして自動化された「改善」のサイクルを回すことができる点に大きな特徴がある。
「WebSAMは人手に依存しないソフトウェアの自律的な運用によって、異常検出から分析、プロビジョニングの実行までを含む一連のサイクルを可能にする。それでいながら非常にシンプルなアーキテクチャで理解しやすく、連携・拡張性にも優れている」(森氏)。
一方で森氏は、目下の大きな話題である「省電力、エコ対策」面でもNECが積極的な取り組みを進めていることを紹介。「REAL IT COOL PROJECT」計画の進捗や、2008年7月に新設された、省電力ITプラットフォームの導入を推進する「REAL IT COOL 推進センター」にも言及した。この他にも「仮想化」や「省電力制御ソフトウェア」等の施策に触れた。
最後に森氏は「今後のビジネス拡大のためにはグローバル対応は不可欠。WebSAMもアジアの日系企業を中心に中国市場への展開を進めている。またSAP社やEMC社とのグローバルアライアンスも進んでいる」と紹介。WebSAM WORKSの展開状況とあわせて活発な活動ぶりを強調した。
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安原氏によれば「さまざまな形式で存在するデータの統合や、システム間のデータ連携などを実現する際に、必要なデータ加工処理をノンプログラミングで実現できるETLツールは不可欠」であり、同社の提供する「Waha!Transformer」はそのためのツールとして10年以上にわたる実績を持っているという。すでに国内出荷ライセンス数は1,500を超えており、導入業種も幅広い。今後は「Waha!Transformer」を「WebSAMオフィス」と組み合わせることで、運用性のさらなる向上と完全に自動化されたデータ連携基盤を提供していきたいと語った。
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これに対してHPでは、ITをビジネスに最適化させる「ビジネスとテクノロジの最適化(Business Technology Optimization)」を提唱する。またHP Softwareは、ビジネスとITの理想的な関係を築くための支援を行っており、NECとのパートナーシップにより、ジョブスケジューリング分野では「WebSAM JobCenter」を採用しているという。「日本では、運用管理の重要性は、いまだ欧米に比べて認識が高いとはいえない。NECとの協業を通じてこの点をさらに強化していきたい」と河口氏は語った。
折からの猛暑続きにもかかわらず、多くの参加者を集めた今回のWebSAM WORKS Dayだったが、今回のセッションでは、ITシステムの統合運用管理に関心を持つ人々に、今後の課題およびその解決方法について、最新かつ明確な方向性を示唆できたといえよう。
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