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- 2008/03/21 掲載
SLAとは何か?ITサービスマネジメントシステムの中核:ソフトバンクテレコム尾崎雅彦氏
ITエンジニアも知っておきたいちょっとハードなトピック
1990年代の急速なインターネットサービスの普及、ハードウェアやソフトウェア技術の向上により、企業活動や社会生活はITサービスにますます依存するようになってきた。たとえ1時間でもITサービスがダウンすれば、それに依存した取引、業務などのサービスがまったく機能しなくなる。ユビキタス社会の到来を控え、ITサービスは単に企業業務のツールということを超えた社会生活における「生命線」ということができるだろう。その意味でも、情報通信技術を利用したITシステムとその情報なくして、企業経営は成立しない時代となった。
そうした中、2007年4月20日にJIS Q 20000(注1)が制定された。これは、ITサービスマネジメントシステム(ITSMS)の国際規格ISO/IEC 20000(注2)(以下、ISO20000)が日本規格化(JIS化)されたもので、金融商品取引法に定められた内部統制のためのITコントロールツールとして注目されている。このITサービスマネジメントシステムを実行する上で中核となるのが、SLA(Service Level Agreement)とCMDB(Configuration Management Database)である(図1)。今回はそのうち、SLAとITSMSの関係をおさらいしておきたい。
図1 SLAと他のプロセスとの関係 |
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ISO20000は、ITSMSのベストプラクティス集であるITILをベースにした英国の規格「BS15000」が国際規格化されたものであり、サービス提供プロセス、関係プロセス、解決プロセス、統合的制御プロセス、リリースプロセスを規定している(表1)。ISO20000の特徴は、規格化に際してマネジメントシステムを採用したことにある。
ここでいうマネジメントシステムとは、組織の経営者がどのようなことを念頭に置いて経営を行うかを示した仕組みのことである。組織能力の高い企業、すなわちマネジメントシステムが構築されている企業では、IT投資によって高い経営成果を上げるのに対し、そうではない企業、すなわち組織能力の低い企業では、IT投資による経営成果に乏しい。IT投資の成果を上げるためには、組織としてのプロセスを見直し、高い組織能力を持つ必要があるのだ。ここで改めて定義すると、ITSMSとは「ITサービスによる組織経営の方法」と言うことができる。ITSMSでは常にビジネスとしてITをどのように捉えるかを認識していなければならないのである。
表1 ISO20000の要求事項 |
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(注1)JIS Q 20000
「JIS Q 20000-1:情報技術 サービスマネジメント 第1部:仕様」と「JIS Q 20000-2:情報技術 サービスマネジメント 第2部:実践のための規範」のこと
(注2)ISO/IEC 20000
「ISO/IEC 20000-1:2005(Information Technology-Service Management-Part1:Specification )」と「ISO/IEC 20000-2:2005(Information Technology-Service Management-Part2:Code of Practice)」のこと
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