- 2007/08/02 掲載
【中国ビジネス最前線(7)】広東省での人材斡旋事情--ワーフマネジメント(2/2)
日本人が自分の持つ技術を提供するとすぐに解雇されることも…
深センの町並み |
そのため同社の中国人スタッフは皆、知識に対して貪欲で、また知識に対して貪欲であるからこそスタッフになりうる。中国人スタッフであっても丁寧親切な応対ができることも同社の信頼性を高める重要なファクターになっているのだという。山本氏は回想する「昔は無茶な要求をしてくる企業に対して怒ってしまうスタッフがいました。中には怒って電話を切ってしまう人もいましたね」
今では同社のスタッフは皆一定の知識を持つべく、山本氏も含め、社内で勉強会を1ヶ月に1回程度行っている。当初は「皆一定の知識」でなく、競争意識をもたせ、各自他の社員に負けないように知識を競いあっていたが、去年から情報の共有化をするという方針に変更し、一人の社員がある業界の知識についての資料を作り、勉強会に参加する他の社員を前に発表するという形式にしている。
全般的に中国人はアピール上手だ。アピールが控えめな日本企業での就職を希望し、同社を訪れる中国人もまたアピール上手である。アピール上手といえば良く聞こえるが、日本人の感覚からすれば過剰すぎる面もあるので注意が必要だ。
というのも、例えば日本語の能力がわかる目安である「日本語能力検定試験」の取得レベルについて、受験しただけで合格したと言ったり、日常会話程度しか日本語が話せないのにビジネスレベルと称する中国人は絶えずいる。また専門のモノづくりの技術にしてもこれだけ知っている、これだけ経験していると誇張してアピールすることがある。これらは文化的な違いでもあるが、中国でビジネスを展開する際には必ず注意しなければならない点だ。
同社からみた、今広東省で必要な日本人人材とはどんな人材なのだろうか。「若い世代と年配の世代の間が抜けているのです。企業の将来の幹部となるだろう30~40代のマネジメントができる人材を熱望しています。若い日本人については、この華南地区に限って言えばがんばる人、元気な人であり、中国語に関しては日常会話程度でOKです。会社によっては中国語がほとんどできなくても受け入れるところもありますね」
またチャイナリスクが叫ばれている現在「ベトナムのハノイのほうにも進出しようという一部の日系企業の動きがあります。さすがにベトナム語が話せる人というのは少ないですので、英語と中国語と日本語ができる人になりますが、これらの言語ができ、かつマネジメントできる人は少ないので重宝されます」と山本氏は語る。
他にもまだある。「日本語ができるITエンジニアは稀少な存在です。現地のエンジニアはITの技術が豊富にあっても、日本語ができないので報告できません。なので広東省の日系企業でなら給与は高いのではないでしょうか」
山谷剛史 海外専門ITライター。守備範囲は中国・東南アジア・インド・北欧など。現在主に中国に滞在し、中国関連の記事を複数メディアで執筆。一般誌にも時々執筆するが、とはいえノンポリティカルな執筆が基本。統計数字だけではなく、できる限り誰にでも読めて分かり、匂いや雰囲気を感じることができる記事をつくるのがポリシー。そのために裕福な人々ではなく、国民の大部分である平民層以下にスポットを当て、現地で体を張って取材。 |
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