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  • 2007/07/31 掲載

【オーバーチュア山中氏インタビュー】企業からの積極的な情報発信が必要

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インターネット利用の広まりは、ビジネスのあり方を大きく変えた。この変化を支える大きな柱が「検索」だ。今や、誰もが検索エンジンで情報を探し、その情報を元にショッピングをはじめとするさまざまな活動を行う。検索エンジンからいかに見込み客を誘導するかが、これからのマーケティング活動の鍵を握っているといっても過言ではない。そして、検索エンジン関連ビジネスで最も注目を集めているのが、ユーザーが検索したキーワードに合致する広告を表示する検索連動型広告だ。日本国内の検索連動型広告市場において6割以上のシェアを持つ、オーバーチュア株式会社の山中理惠氏に、検索連動型広告の市場や活用についてうかがった。
見込み客を効率的に
誘導できる検索連動型広告

オーバーチュア株式会社 シニアディレクターマーケティング 山中理惠氏
オーバーチュア株式会社 シニアディレクター
マーケティング 山中理惠氏

--オーバーチュアの事業内容についてお聞かせください。

山中氏■
オーバーチュアは米Yahoo!の一部門(ヤフー株式会社が子会社化の予定)で、インターネット広告のプラットフォームをYahoo!JAPANやMSNなどに提供しています。日本においては、検索連動型広告市場の60%強のシェアを持つマーケットリーダーです。取り扱っている広告商品は大きく分けて、検索連動型広告「スポンサードサーチ」とコンテンツ連動型広告「コンテンツマッチ」の2つ。それぞれパソコン向け、携帯電話向けのソリューションを用意しており、全部で4つのソリューションを提供しております。


--検索連動型広告とはどのようなものでしょう?

山中氏■
検索連動型広告とは、ネットユーザーが検索エンジンを使って特定のキーワードを検索すると、そのキーワードと関連する広告を結果ページに表示するというものです。一方のコンテンツ連動型広告は、ニュースサイトなどで記事と関連性の高い広告を自動的に表示します。


--バナー広告と検索連動型広告はどのような点で違いがあるのでしょうか?

山中氏■
バナー広告はデザインのバラエティに富んでおり、ユーザーに広告を印象づけやすいという利点がありますが、基本的には表示期間や表示回数で課金されます。一方、検索連動型広告は、キーワードを検索したユーザーがクリックした時に初めて課金される仕組みです。また、バナー広告の場合、ユーザーの意志とは無関係に表示されますが、検索連動型広告はユーザーが知りたいと思っている情報と共に表示されます。つまり、クリック率もバナー広告より高くなるわけです。


--広告出稿はどのように行うのでしょうか?

山中氏■
ネットユーザーが検索すると思われるキーワードを入札で買っていただくことになります。例えば、「自動車」という一般的なキーワードは検索される頻度が高いため、入札金額も高くなります。一方、特定車種のように絞り込んだキーワードであれば、安くなります。どのようなキーワードであれば自社サイトに誘導できるかを考え、広告予算を考慮しながら必要と思われるキーワードを購入していくというのが一般的な流れです。


--検索連動型広告市場は急速に拡大しているようですね。

山中氏■
日本の場合、ここ数年は年率35~40%という勢いで伸びています。とはいっても、インターネット広告全体に占める検索連動型広告の割合はまだ20%強。米国の場合はバナー広告と検索連動型広告がそれぞれ40%強で並んでいます。日本でもまだまだ伸びしろはあるというのが、ネット業界、広告業界の一致した見方です。

誰もが検索エンジンで
情報を検索するようになった


--消費者の購買プロセスに変化はあったのでしょうか?

山中氏■
ここ2、3年で、ネットの情報を検索して探すという行動が一般的になったことが非常に大きな変化ですね。これにより、AIDMAからAISASへと購買プロセスが変化しているといわれています。AIDMAというのは、Attention(気になる)→Interest(興味を持つ)→Desire(欲する)→Memory(記憶する)→Action(購入する)。これが、Attention(気になる)→Interest(興味を持つ)→Search(検索する)→Action(購入する)→Share(情報を共有する)になっているというのです。

 米国での調査によれば、自動車や若年層向けのファッション、豪華な旅行といった商品を購入する際の情報源を(ネットに限らず)3つ挙げてもらったところ、少なくとも2つはネット関連のサービスという結果が出ています。正確なデータはわかりませんが、日本でも同じ傾向が現れているようですね。

 『インターネット白書2006』(インプレスR&D)によれば、ショッピングで参考にするネットの情報源としては、「メーカーのウェブサイト」「サービス提供者からのメールマガジン」に続いて、「比較サイトのレビュー」「掲示板の書き込み」「ブログ記事」が上がっており、CGM(ユーザー側が情報を発信するタイプのメディア)が注目されるようになってきています。CGMにたどり着くまでには必ず検索エンジンを使いますから、やはり何かを買おうとする際には検索が行われていると考えられます。従来なら、企業発の情報しか見なかったユーザーが、実際に商品を使ったことのある人の情報まで得るようになってきているのです。

顧客をつかむには
企業からの積極的な情報発信が必要


--企業側もマーケティング活動を変化させていく必要がありますね。

山中氏■
企業は、自社や自社の製品・サービスについてブログなどにどう書かれているのかを観測した上で、自分から情報を開示していくことが必要です。それはブロガー(ブログを書いている人)に金品を渡してよく書いてもらうということではなく、企業で働いている個人、サービス担当者や研究開発者の顔を企業自身が見せるということ。企業が何をどう考えて新しいサービスを作っているのか、そういう生の情報がネット上ではプラスに評価されるようになっています。少し前まで企業側は社員がブログを書くことを禁止していましたが、現在では一律に禁止したり、完全に検閲するのではなく、前向きにきちんとした情報を出していこうというポリシーに変わりつつあります。生に近い情報をすばやいタイミングでタイミングで出すことが重要です。

 自動車メーカーではすでに一般的になってきていますが、ユーザーが購入した商品で日々体験したことをスポンサーブログに書いてもらうというのも効果的でしょう。そうしたブログでは使い勝手についてのポジティブな意見が出ることもあるでしょうし、多少はネガティブな意見も書かれるかもしれませんが、それらをひっくるめてさらけ出すのがよいと思います。これまでのように検閲された公式情報をおっとりしたタイミングで出していると、消費者からは情報がない企業だとみなされてしまいます。CGMでは、ユーザーが発信する情報だけに頼るのではなく、企業自体が前向きに情報を開示しアピールしていく姿勢を見せなければいけません。


--情報発信を効果的に利用している企業の例としてはどのようなものがありますか?

山中氏■
米国で言えば、すべての自動車メーカーが実行していますね。あとは、IT系のハードウェア、ソフトウェアメーカーなど、多くの会社が該当します。食品系では、ヨーグルト会社がコミュニティを作り、牛乳アレルギーの子供を持つ母親を取り込んだりしています。ハイテク関連だけでなく、流通系、食品系など、ブログなどのCGMを生かしたマーケティング活動は活発だと思います。

ネット広告は
既存メディアの効果も高める

--広告の打ち方も変える必要があるのでしょうか?

山中氏■
インターネット広告は、テレビや新聞、雑誌、ラジオなどの広告と並列に扱われることがあります。しかし、インターネット広告はネット以外の広告と非常に親和性が高いということがわかってきました。

 例えば、自社のイベントやセミナーを行う場合、テレビや新聞に広告を出しますね。最近では、その広告を見た人が「このイベントは何だろう」と検索エンジンで調べるようになってきています。テレビや新聞に広告を打っても、ネット上での準備が不十分だと、見込み客に対してメッセージを伝えることができず、せっかくのチャンスを逃してしまうことになるのです。話題性のあるテレビCMを作ったのなら、そのCMについての補足情報をウェブサイトに掲載し、そこに見込み客を誘導してくるべきでしょう。

 それでは、どうやってウェブサイトまで人を誘導してくるか? 検索エンジンにおける通常の検索結果(オーガニック検索)でヒットしやすくするだけでなく、検索連動型広告も使っていただくのが合理的だと思います。

 意外と見落とされがちなことですが、オーガニック検索では企業側が出したいメッセージが検索結果にそのまま表示されるわけではありません。キーワードに合致した部分だけが抜き出して表示されるため、ちゃんとした文章にならないこともあります。これに対して検索連動型広告では、広告主の指定した広告コピーがすべて表示されるようになっています。「iPod」で検索してみるとアップル自身が検索連動型広告を出していることがわかるように、オーガニック検索と検索連動型広告を合わせて使うと効率的に顧客をウェブサイトへ誘導できます。

 検索連動型広告は、ブランディングにも活用できます。かつては、インターネットを使ったブランディングは難しいと言われていました。もちろん現在でもインターネットだけでブランディングをするのではなく、テレビ広告や雑誌広告などと組み合わせることが必要です。これらネット以外の広告をネットと結びつけることできめ細かなブランディングが可能となります。1つの企業があるとすると、まず企業名が最初のブランド、その下に(自動車メーカーなら)カテゴリーごとのブランドが来ます。オーガニック検索の場合、検索結果からどのページにジャンプするかわかりません。ところが、検索連動型広告の場合、このキーワードに対してはこのページ、というように飛び先を細かく指定できます。

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