- 2007/08/02 掲載
シンプルさをキーワードに複雑化するシステムを支える最適な運用管理の実践例を紹介
「システム運用管理の処方箋セミナー~導入事例から見る解決策」(主催:ソフトバンククリエイティブ)
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セミナー当日は多くの来場者が集まり 関心の高さを表した |
具体的には、ある1つの業務システムの動作がトリガーとなって、関連するいくつものシステムの間でデータの受け渡しや処理のプロセスが発生する。その一連のワークフローやインシデント時の対応体制、セキュリティ確保といった細部に至るまでが有機的に連携し、最適の処理をもっとも効率的な手順で実行していくことが望まれる。
だが、実際にWebシステムに異常なアクセス集中やアタックが起こったとき、ネットワークの切断やデータベースの保護を人手で行っていたら間に合うだろうか。サービスレベルを向上させようとしてソフトウェアのバージョンアップを行っても、各部署のサーバへのインストールが人任せだったら、かえってバージョンの混在を招くだけにならないだろうか。
従来の属人的なオペレーションで全体を管理するには、現代のシステムはあまりに高度かつ複雑であり、インシデント対応に許される時間は限られている。もはやシステム運用管理に特化した、専用のITソリューションによる自動化と統合管理以外に、現実的かつ有効な解はないのである。今回のセミナーでは、大規模ミッションクリティカルなシステムで豊富な実績を持つNECが提唱するこれからの運用管理の将来像と具体的なソリューションの紹介と、現在データセンター事業において好調な伸びを示しているNECネクサソリューションズでの実践例が紹介された。
「全体統制型システム運用管理」
全体統制の実現には、シンプルさが重要
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NEC 第一システムソフトウェア事業部 グループマネージャー 山崎正史氏 |
山崎氏はまず、ITシステム運用管理に関して企業の中にさまざまな懸念が発生していることを指摘。「自社の情報システムの安定稼働に関して、ユーザーの8割が不安を抱いており、人々はサービス品質の担保を求める運用管理を望んでいる。さらに2009年3月期からのJ-SOX法施行に向けて、コンプライアンス対応とそのためのコストも懸念材料だ」と語った。
山崎氏は、そうした環境下で有効なキーワードを「全体統制型システム運用管理」として提唱。従来の個別統制から企業システム全体視点での管理と統制が必要であると主張し、それを実現するソリューションとして「WebSAM」が有効であると説いた。「WebSAM」は全体統制をきわめてシンプルな運用で実現できる画期的なソリューションであり、「システムのリスクや現状を可視化」し、「的確な判断をナビゲート」、「自動化により運用を改善」するといった、システムの運用サイクルを継続的に改善していく仕組みを提供する。「これまではインシデント対応で連絡不足や伝達経路で生ずるタイムラグなどが生じやすかった、部門間=システム間の溝をソフトウェアによって自動化し、なおかつ運用管理の過程で蓄積されたナレッジを活用するPDCAサイクルを実現することが可能だ」と述べた。
統合監視システムを導入
データセンター運用の効率化とサービス向上を目指す
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NECネクサソリューションズ サービス開発事業部 サービス設計部長 澤田誠氏 |
冒頭、澤田氏は「システムの運用監視を、かつては個別のツールやまちまちの監視体制で行うケースがほとんどだった。しかしこれは非効率であり、監視レベルも現代の要求に応えるものではない。統合運用管理センターを設けて、各拠点のデータセンターを集中的に監視・管理することが必要だ」と述べた。同社では、集中監視体制による効率化と冗長化、耐災害性の向上を図るべきとのポリシーのもと、「WebSAM」を自社の構築する統合監視システムに採用し、従来導入していた他社製監視ツールから切り替え、2007年4月から順次適用を開始したという。
採用にあたり、NECネクサソリューションズではデータセンターの現場での厳しい評価を行い「WebSAM」に対して機能強化を要望。NECグループ一体となって強化された「WebSAM」では、数千台規模のサーバを管理できるスケーラブルな多段構成への対応、監視無停止を目的とした監視機能の正副二重化構成や監視機能自体の動作監視(健全性機能)など信頼性の高い監視機能を実現しているという。
澤田氏は「当社では、データセンター事業を基盤にして、独自の高度なアウトソーシングサービス『NEXSOURCING®』を提供している。今回ご紹介した統合運用管理センターによるシステム運用サービスはもちろん、IT統制支援サービスや運用クリニック®など、多彩なメニューを提供しているので、ぜひご活用いただきたい」と自信をのぞかせた。
自律運用をデモンストレーションで実演
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NEC 第一システムソフトウェア事業部 シニアマネージャー 藤田朋生氏 |
セッション後半は、『全体統制』の中核となる統合管理ツール「WebSAM MCOperations」を紹介。業務の観点による障害監視とナレッジデータベースによる復旧支援で、リソース不足を予知し、負荷変動に合わせてサーバリソースを自動配置する事例を、詳細なデモンストレーションで展開した。複雑な運用管理作業を“WebSAMフレームワーク”による統一されたGUIで容易にできることを具体的に見せる事で、シンプルに運用の理解を深めた。
これまでのITシステム運用、とりわけ内部統制対応を含むオペレーション体制の構築については、概念論的なフェーズにとどまる例が少なくなかった。しかし今回のセミナーでは、「WebSAM」という具体的なソリューションとその活用事例が出そろったことで、明確な今後の対応指針を示すことに成功したといえよう。会場となったセミナールームの満席ぶりを見ても、ITシステムの運用管理に携わる人々がこの「WebSAM」に寄せる関心の高さが伺える催しとなった。
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