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毎日のオフィス業務で必ず行うであろうメール作業。タイム・パフォーマンス(タイパ)を向上させる上では、いかに効率的にメール作業をこなすかが重要になりますが、あまりにタイパを追及すると、ここである「落とし穴」にはまってしまいます。一体それは何でしょうか。メール作業におけるタイパ向上の注意点について解説します。
メール「一往復」はタイパがいいのか
最近は、タイパを考えてメールを一往復にする、という考え方があるようです。
この考えは、一見タイパを重視した効率的な手法に思えますが、実は、仕事上メールを一往復で済ませることは大きなリスクが付きまといます。目先のタイパを優先すればトータルのパフォーマンスを下げることにつながってしまうのです。
ではまず、メールにおける「一往復」と「一往復半」が何を指しているのかを上司が部下に資料の作成を依頼するメールを例に考えてみましょう。
● 一往復
【上司】パワーポイントでの資料作成を依頼
↓
【部下】依頼された資料を作成し、上司に提出
上司が部下に資料の作成を依頼すると、部下が依頼を受けて資料を作成し、上司に提出する。これが一往復です。資料を受け取った上司は受領の返事をしません。
一方、一往復半の場合、資料を受け取った上司が返事をして終わります。
● 一往復半
【上司】パワーポイントでの資料作成を依頼
↓
【部下】依頼された資料を作成し、上司に提出
↓
【上司】資料を受け取り、内容を確認して、完了を告げる
このような依頼の場面だと、一往復のメールには欠陥があります。部下の立場からすると、上司から「受け取りました」、「問題はありません」といった反応がないので、対応が完了したのか分かりません。
資料を提出したメールが届いていなければ「まだ提出してこない」と上司に思われています。一方、メールが届いていても、上司が見ていなければ対応は完了しておらず、「修正してください」と指示がくる可能性を考慮して待っていなければなりません。あるいは、上司がメールを開封して返信を忘れているかもしれません。資料に修正すべき箇所があって上司が「ここを直してください」と返信したものの、そのメールを部下が見逃しているかもしれない可能性も考えられます。
このように、返事がないのには複数の理由が考えられるため、部下は判断に迷います。たまたま今回は提出物の内容に問題がなく、ただ上司が受領の返信をしていないケースだとしても、次回も同じとは限りません。提出物を出しても上司から返事がないことが普通になってしまえば「メールは送ったら必ず届いていて、返信がなかったとしても気にする必要はない」と部下は捉えるようになってしまうほか、メールは送りっぱなしでいいと考えてしまう可能性もあります。
考えておくべき「損失」とは
こうした懸念点を考慮すると、タイパの観点でメールを一往復しかしないことは、実は得策ではないことが分かります。
こちらから何か連絡をして、相手が対応してくれたら「確認しました。ご対応いただきありがとうございます」と返信するのにかかる時間は1~2分程度。100通あれば100~200分かかる計算です。
仮に100通に1通くらい、返事をしないことによって誤解が生じたり、問題が生まれたりしたら、それをカバーするために予想を超える時間を費やすことになるでしょう。各方面に謝罪したり、予定外の仕事が増えたりすることもあります。作業が全部やり直しになったり、失注したりするかもしれません。当然、相手からの信頼は損なわれてしまいます。
こうしたリスクを回避するために100~200分を投資するのは「タイパが悪い」と言えるでしょうか。100~200分の投資で防げる損失のほうがはるかに大きいのです。
【次ページ】営業におけるメールの重要性
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