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今日は定時退社するつもりだったのに、細かい仕事が残ってしまい結局残業。こんな経験はないでしょうか。特にメールの処理や書類の作成など、数分で終わる細かい仕事はついつい後回しにしてしまい、残業の発生理由になってしまいがちです。実はこうしたタスク、仕事中に発生する「スキマ時間」を活用することで驚くほど効率的に処理することができるようになります。仕事中のスキマ時間とは具体的にどんな時間で、そこでどういうタスクをどうこなせばいいのかを解説します。
グループワークで「早く終わる」チームは優秀なのか
筆者は、メールコミュニケーションやタイムマネジメントについて、企業から依頼を受けて研修を担当する機会がよくあります。そんな研修においても、時間の使い方の良し悪しが表れるときがあります。
それは、集合研修における、自己紹介や課題共有などのグループワークの時間です。たとえば、4人グループをいくつか作って、3分間話し合ってもらうようなイメージです。その際、タスクの遂行において、各グループが次のような3つのパターンに分かれたと考えてみてください。
- (1)3分よりも早く終わる
- (2)ぴったり3分に終わる
- (3)3分を過ぎて終わる
一番評価されるのは、どのグループでしょうか。
まず論外なのが(3)の時間オーバーのグループです。時間を過ぎても話し合っているグループが終わるまで、ほかのグループは待つことになります。仮に100人が1分待たされたら、合計すると何もしないで待っている時間が100分生まれたことになります。組織全体で考えたら、多大な時間をロスします。
3つのパターンの中で最も望ましいのは「(2)ぴったり3分に終わる」です。ファシリテーターが、1人当たりの時間を決めて適切に場を回していく。それによって均等に発言ができ、全員が実りのある発表をして情報共有ができるわけです。
それでは「(1)3分よりも早く終わる」は、どう評価すべきでしょうか。話し合いが2分で終わり、残りの1分は机に突っ伏していたり、スマホをいじっていたり。
実は、このグループも望ましくありません。なぜなら彼らは、1分という貴重な時間を無駄にしているからです。
生成AIで1分にまとめた動画
もし話し合いが予定より早く終わったのなら、振り返りをして議論を深めたり、グループワークを行いやすくするために雑談をしたり、残りの1分を有意義に使うべきです。ただし、これができるチームはまれです。講師の立場からすると、残り時間を活用しないチームのディスカッションは「密度が低い」と感じます。
そしてこのことは、そのまま普段の仕事にも当てはまります。物事の充実している度合いを意識して仕事をする人は、与えられた時間から最大の成果を挙げようとします。時間を調整してぴったりと終わらせるだけでなく、早く終わったら別の業務に取り掛かり、新たな成果を生む方が効率的なのです。
休憩時間の使い方が定時退社の「可否」を左右するワケ
では、普段の仕事における時間の使い方の良し悪しも考えてみましょう。
ある会社に、AさんとBさんという社員がおり、2人が生み出す成果物は同じ質だと仮定します。以下は、2人の作業ペースを表したものです。
AさんBさんの作業ペース
- 【Aさん】50分で作業 10分休憩(合計60分)
- 【Bさん】55分で作業 3分休憩(合計58分)
この場合、作業のスピードで見ると、Aさんのほうが評価されるかもしれません。しかし、休憩の時間までワンセットと考えるとどうでしょうか。Aさんは60分、Bさんは58分で同じ仕事をしたと言えます。その場合、作業の密度で考えると、Bさんのほうが評価されますね。
さらに、Bさんが休憩中も、職場の人とコミュニケーションを取り仕事に役立つ情報交換を行っていれば、Bさんが効率面でだいぶリードしていることになります。
一方のAさんですが、10分間完全に休憩していたならば、60分で作業している人と同価値になります。もちろん、しっかり10分休憩することで疲労が回復するから、次の作業も50分で終えることができるのかもしれません。そうであったとしても、60分ごとに休憩時間を10分取ることが必要な働き方ということであり、トータルの所要時間としては、やはり60分が必要な人だということになります。
実は、Bさんのような、休憩時間はあまり頭を使わない何か別の些細なタスクに充てる、という方法はタイパを向上させる上で非常に重要なのです。
これは実体験になりますが、筆者が登壇する研修やセミナーは、オンラインでの開催が増えています。オンラインの場合、参加者の負担も考えて、1時間に1回10分程度の休憩を取るようにしています。
そのため、もし3時間のセミナーならば2回(合計20分)の休憩があることになります。
休憩中に、資料を確認したり、ぼーっとしたり、体を休めたり、時間の使い方は講師によってさまざまだと思いますが、筆者の場合は、この10分間という隙間時間でできる仕事をします。この休憩時間に何を行うのかによって、その日の退社時間に大きく影響を及ぼすからです。
では具体的にどんな仕事をしているのかというと、返信が簡単なメール処理などをこなしています。
休憩時間なのに休まなくてもいいのかと思われるかもしれませんが、筆者の場合、講義とメール処理は使う脳の領域が違うのか、疲れることはありません。講義の休憩時間にメール処理を1通完了すれば、その分仕事を進めたことになります。未処理で残った業務をゲーム感覚で次々とクリアしていくのがコツです。
一方、講義中には受講生が考えたり、メモを取ったりする時間があります。その時間は、講義の途中で小休止しています。まとまった時間ではなくても講義のそのような隙間に休んでいるので、休憩という意味ではトータルで10分以上休んでいるのと同じことかもしれません。
このケースにおいて、もししっかりと10分間ずつ休憩を取って、講義が終わってから20分メール処理をする、という働き方をしたらどうでしょうか。メール処理の時間分、トータルの業務時間が20分延びますね。業務時間内に20分を確保できなければ、残業が確定してしまいます。
残業を発生させないためには、隙間時間を有効活用することを侮ってはならないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
【次ページ】仕事の中の「スキマ時間」はどう見つける?
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