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- 2023/09/29 掲載
日本酒に“酔いしれる”米国民、ブーム爆発の裏で実は「日本政府も立役者」のワケ
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
「日本」と言えば…米国人が抱く“第1印象”
米国人が抱く日本の代表的なイメージが「フジヤマ」「ゲイシャ」であったのは、今は昔の話だ。2015年2月とやや昔の調査だが、米世論調査機関のピュー・リサーチセンターが1000人の成人に行ったアンケート(複数回答)では、「日本と聞いてどのようなイメージを思い浮かべるか」との問いに対し、文化のカテゴリーで98%の回答者が「すし、和食」と答えた(図1)。
世論調査では通常、1つの回答に、これほどの圧倒的な支持を集めることは珍しい。それだけ米国人が和食に親しみを持っていることの表れだろう。
だがそんな和食には、やっぱり日本酒(注)がよく合う。まだ日本酒をよく知らない人たちでも、「和食に合う酒が飲みたい」と思うのは、当然の成り行きだ。
米ニューヨーク・タイムズ紙の「米国でブームになるサケ(Sake Is Booming in America)」と題された2月27日付の記事で、ニューヨークの著名な酒類輸入業者、スカーニック・ワイン・アンド・スピリッツの日本酒スペシャリストであるジェイミー・グレイブス氏はこう振り返った。
「(ダントツの知名度を持つ)すしだけでなく、居酒屋や焼き鳥屋、珍しい懐石料理を提供する店が米国国内で増えたことで、高級な日本酒への関心も高まった」。和食が普及するほど、日本酒需要も高まるわけだ。
関心が高まるとともに、インターネット上で手軽にアクセスできる解説ページやYouTube動画によって、米国人の日本酒に関する知識も深まっている。純米酒、吟醸、大吟醸などの細かい違い、それらの代表的な銘柄や産地などを英語で解説した動画や解説ページなどが豊富に出回っており、ネットによる知識の拡散も日本酒の普及に密接に関係していると言える。
そうした中で注目されるのが、日本酒を提供する店舗への啓もう活動だ。スカーニック・ワイン・アンド・スピリッツでは、どのような器で日本酒を提供すれば良いかといった日本酒の提供作法について丁寧に教えるレストラン経営者向けの動画を作成している。
グレイブス氏は「ワインで合わせることが極めて難しい、アスパラガスやアーティチョークなどの食材でも、驚くほど融通の利く(remarkably versatile)日本酒ならピッタリ合う。米国人シェフが出汁や味噌を西洋料理にも利用するようになって、日本酒もそれについてきたのだが、チーズとさえ相性が良い」と絶賛する。
このように、日本の食や酒文化に対する理解の深まりが人気に火を点けたわけだ。だが、理解を深めるまでに至った大きな理由はほかにもあり、そこには日本政府のある戦略が関係してくる。

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