- 2006/08/22 掲載
【Web2.0特集】SNS[mixi]におけるネットワーク行動~「バーチャリアラー」の特性と果たす役割
【売上アップ】Web2.0
「リアルな基盤」への信頼がコミュニティの穏やかさを保つ
Web1.0の時代は、「リアル」と「バーチャル」が対立する構図を持っていた。2ちゃんねるに象徴されるように、ネットコミュニティは独特のバーチャルな世界だった。それが、Web2.0の時代ではリアルとバーチャルの対立構造が解消され、オタクな人ではなく普通の人々がネットコミュニティに参加するようになってきた。SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)のmixiはその代表と言えよう。
mixiの特徴の1つに、コミュニティとしての「穏やかさ」が保たれていることが挙げられる。プロフィール公開の推奨、招待制、訪問履歴の相互参照、情報公開範囲の自己制御などが、その穏やかさの源泉となっている。これらが、他者の属性や行動の把握による不確実性の低減、不審者の特定や監視といった効果を生み出し、「リアルな基盤」への信頼に基づくネットワークを形成しているのである。
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リサーチメンバー 青木孝次氏 この記事の内容は ストリーミングでも視聴できます。 |
mixi参加者に見る「リアル特性」と「バーチャル特性」
リアルな関係とバーチャルな関係が混在していることもmixiの特徴だ。たとえば、自分を中心としたネットワークであるマイミクシィの中には、「実際に知っている友達」(リアル)とともに「実際には知らない友達」(バーチャル)もいる。その周辺には、「マイミクシィのマイミクシィ」つまり「友達の友達」というバーチャルな関係が存在する。さらにその外側の関係も含め、mixi全体はリアルとバーチャルが混在した階層構造を持つコミュニティとなっている。
こうしたことから、mixi参加者が持つ特性としては2つの側面が考えられる。1つは、実際に知っている人とのつながりにこだわる程度を表す「リアル特性」。もう1つは、見知らぬ人とのつながりへの積極性を表す「バーチャル特性」である。
ネットワークを活性化するのはリアル特性ではない
このリアル特性とバーチャル特性がどのようなネットワーク行動につながるのか、mixi参加者を対象に調査を行い、その相関関係を検証した。なお、検証にあたって立てた仮説は、次のようなものである。
「リアル特性の高い参加者のほうが、ネットワークにおけるコミュニケーション活動に積極的である。また、リアル特性の高い参加者は、ネットワークにおいて相手を信頼しやすく、影響を受けやすい」。
しかし実際の検証結果は、仮説とはまったく逆のものとなった。マイミクシィにおいて「実際には知らない友達」や「友達の友達」とのつながりに積極的な層、バーチャル特性の高い参加者のほうが、ネットワーク活動が活発であり、ネット上の情報から受ける影響も強いことが判明した。つまり、mixiにおいてネットワークを活性化させるのはリアル特性ではなく、バーチャル特性であるということだ。
SNS発展の鍵となる「バーチャリアラー」
バーチャル特性がネットワークを活性化させるとはいえ、それだけではWeb1.0時代のネットコミュニティの域を出ず、mixiがmixiではなくなってしまうであろう。一方、mixiのコミュニティとしての穏やかさは、リアルな基盤への信頼によって保たれているが、それだけではネットワークが十分に活性化しない。SNSを発展させるには、リアルな基盤とバーチャルな特性を併せ持つことが必要となる。
そこで意識しておくべき存在が、「バーチャリアラー」という新たなネットユーザー像である。バーチャリアラーとは、リアルな関係に依存し、リアルな人脈を大切にしながらも、バーチャル特性が顕在化した人達のこと。バーチャリアラーは最もネットワーク行動が活発であり、他人一般にも信頼を置く。今後、SNSをはじめとしたWeb2.0時代のネットコミュニティを維持・発展させていく上で鍵を握るのは、このバーチャリアラーという存在である。
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