- 2006/05/31 掲載
HP WORLD Tokyo 2006速報 一橋大学米倉誠一郎教授登場
日本ヒューレット・パッカードは、5月31日と6月1日の2日間にわたり、六本木ヒルズ グランドハイアット東京にて、「ITカオスからの脱却」をテーマにHP WORLD Tokyo 2006を開催する。このイベントは、年に1度、HPの方向性やソリューションを披露するために開催され、今年はスポンサー16社の協力のもと、4つの基調講演、45のセッション、展示会で構成されているという。
激変する企業環境
初日の冒頭で日本ヒューレット・パッカード代表取締役社長 小田晋吾氏が挨拶に登壇した。2006年4月末でHPは第2四半期が終了し、ワールドワイドでの売上高は226億ドルと前年に比べ5%増加、日本も前年同期に比べ2ケタ成長を実現したという。して小田氏は、昨今企業を取り巻く環境は激変していると指摘した。
「企業は今、多くの経営課題に直面している。法規制、社会環境、M&A、可視化等、テクノロジー面では、RFID、SOA、統合DW等、その中で企業は単に売上の伸ばすだけではなく、どのように事業を行うのかも重要である」と指摘した。その解決策として、HPは5つの分類で提案を行うという。各キーワードの頭文字のCを取って、5Cを紹介した。
事業継続性の「Continuity」、統合の「Consolidation」、法令遵守の「Compliance」、管理の「Control」、連携の「Collaboration」。これによって、「顧客企業の期待以上の企業価値向上を目指す」と述べ、挨拶を締めくくった。
ビジネスを加速するHPのIT変革の戦略
次に、Hewlett-Packard Company Vice President IT Infrastructure and Operations Pete Karolczak氏が「ビジネスを加速するHPのIT変革の戦略」という題目の基調講演を行った。Pete Karolczak氏はHPのインフラストラクチャを担当している。講演では、“統合”をテーマに、HPが手掛けた顧客事例ではなく、自社の事例について話を進めた。「統合は、単にコストを削減するだけではない。さらに目的によって管理・統合するものは違う」と述べ、「ポートフォリオ」「ワークフォース」「アプリケーションとインフラストラクチャ」「データセンター」という4つの領域での統合・管理について紹介した。
「ポートフォリオ管理」はプロジェクト案件の管理である。HPはコンパックなど、数々の企業を繰り返し、そのたびに、多くの人員、サービス、土地や建物などが増え、ITコストが増大、その分プロジェクト案件も増加していったという。HPのCEOマークハード氏は、増加するITコストにストップをかけるため、ITを現金と同様に資産として扱うと言明。現金に制限があるように、当時1300もあったプロジェクトの数に制限をかけた。その際、「何が必要か」「ROIは?」等といった視点で経営層がどのプロジェクトを実行すべきかを判断したという。結果として、プロジェクト数は減り、一つひとつのプロジェクト効果が あがったという。
「ワークフォース管理」は、これができると、少ない人数で多くの案件をこなすことができると紹介した。
そして「アプリケーションとインフラストラクチャの統合」。これを始める前、HPでは750以上のデータマートが存在するといった具合に、とにかく管理すべきアプリケーションが多かったという。
具体例として、HumanResorceシステムについて挙げた。当時、HPには国別、地域別を頂点に給与体系、人事異動など80ものシステムが存在していた。理由は国、地域によって固有のプロセス、事情があったためだという。しかし、「本当にそれぞれプロセスが違い、それごとにシステムが必要なのか」という疑問から検証を行った結果、90%の共通ルールを基本に、残りを個別のプロセスや事情にあわせても良いという結論に至った。従来は10%の共通ルールのもとで90%の個別事情を考慮していたのが、まったく逆の結果となったのだ。そして、それをもとにシステムを再構築。コスト削減効果は、年間500万ドルにもなったが、それ以上の効果として、今では国、地域に関係なく社員の把握が共通ルールでできるようになったことを挙げた。
「データセンターの統合」では、85もあった大規模のデータセンターを3箇所のツイン型に集約したという。
最後に、さまざまな統合案件がビジネスを加速させることに非常に重要であるとまとめて講演を終了した。
一橋大学 米倉誠一郎教授登場
本日2つ目の基調講演として、「ITカオスからの脱却」と題し、一橋大学の米倉誠一郎教授が登壇した。米倉氏は、広告の市場規模はインターネットがラジオを抜いた、証券業界ではオンライントレードが対面販売を超えた等、企業を取り巻くマクロ環境は変化してきていると指摘。その一方で、企業という視点では、IT投資の振り分けは依然として業務効率化に振り向けている事実、CIOを置いている企業の数は少ない、さらにCIOは兼務が多く自分の業務の1/3しかIT関係に従事していないなど、現状を嘆きながら紹介した。
では一体どうすればよいのか。米倉氏は、この質問への回答として4つの方法を解説した。(1)現実を直視 (2)蓄積された資源を最大化 (3)人を活かすIT投資 (4)戦略的に考える…
この4つの方法論を含めたこのセッションの模様については、後日、ソフトバンク ビジネス+IT上でストリーミング配信します。つづきは、そちらをご視聴ください。
HP WORLD Tokyo 2006は明日も開催している。ぜひ、ビジネスを加速するための方法論を自分の目で確かめていただきたいと思う。
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