- 会員限定
- 2023/04/25 掲載
価格戦略で成功したポルシェと失敗したGM、日本企業が低収益で残念すぎるワケ
【連載】価格戦略の必勝法
日本企業の「価格戦略の軽視」に警鐘
利益は「売り上げ-コスト」、売り上げをさらに分解すると「価格×販売数量-コスト」で表される。価格は販売数量をも左右するため、企業が価格をどう設定し管理するかが、売り上げひいては利益の大きな決定要因となる。しかし、日本企業は利益の片方の構成要素であるコストの管理については原価低減や開発効率化などに注力する一方で、価格の設定、管理に関しては十分なリソースの投下や専門的なノウハウの適用を行ってきたとは言い難い。日本企業の営業利益率は過去十数年の平均で欧米の半分、もしくはそれ以下しかなく、こうした価格戦略の軽視や、その拙さが国際比較における日本の利益率の低さの少なからぬ要因と考えられる。
ただし、これは別の見方をすれば、価格戦略を改革することにより、利益を大幅に改善できる余地があることを意味する。本稿では、価格戦略により利益を拡大するための3つの提言を行いたい。筆者はクライアント企業に対し、ここ10年で100を優に超える価格戦略プロジェクトを実施ししているが、この3つこそが日本企業の価格戦略における要諦と確信しているものである。
- 提言1:シェア至上主義に陥らないこと
- 提言2:価格戦争を仕掛けないこと、価格戦争に陥らないこと
- 提言3:顧客の支払い意思額と価格弾力性に基づき、利益を最大化する価格を設定すること
本記事は3回の連載となるが、1回目は“提言1:シェア至上主義に陥らないこと”をテーマとして扱う。
半数以上の日本企業が固執する「シェア至上主義」
シェア至上主義というのは、市場シェアの拡大を企業の第一義的な目標とすることを意味する。では、この日本企業のシェア至上主義について、弊社が過去に行ったグローバル・プライシングスタディの結果を見ながらこの問題点について考えてみたい。これは全世界の経営層や価格に決定権をもつ管理職を対象に、価格戦略についての調査を行ったものである。その中で、非常に興味深い結果が得られている。この調査の中で、“市場シェアは価格戦略上、最も重要な目標ですか?”と聞いた際に、これに“はい”と答えた割合を国ごとに集計したのが以下の図1である。これを見ると、日本の企業にとっては市場シェアの獲得が圧倒的に重要な目標であることが見て取れる。
一方で、“利益は価格戦略上、最も重要な目標ですか?”との問いに“はい”と答えた割合は調査対象国中で最も低く(図2)、日本の「利益よりも市場シェアの方が重要な目標と考える」経営層や管理職が多いことに驚かされた。この調査は10年程前のもであるが、筆者はこの根本的なスタンスは今も大きく変わっていないと考える。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました