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  • 2005/11/25 掲載

サービス全体を見渡すビジネス感覚が<BR>システム部門にも求められる

情報リーダーインタビュー 「株式会社マクロミル」

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マーケティングリサーチの結果が24時間以内に得られる。しかも5万円からという低料金で。2000年に登場したネットリサーチ会社マクロミルは、リサーチ業界に衝撃を与えた。
同社が持つ大きな強みのひとつが、完成度の高い情報システム基盤にある。顧客の求めに応じてシステムの機能をブラッシュアップしながら、同時にオペレーションの効率化を徹底することで圧倒的な低コスト・ハイスピードを実現しているのだ。
システムがサービスの中核にある同社において、システム部門、そしてCIOが果たすべき役割とは何か。CIOの柴田 聡氏にうかがった。

サービスの自動化で調査を
より手軽に、安く、速く

――ネットリサーチという新境地を開かれましたね

[柴田]  従来の調査は、一言でいえば時間とお金が必要でした。弊社CEOの杉本(哲哉)は、前職の(株)リクルート勤務時代に新規事業開発を行うセクションに所属し、調査会社をよく利用していましたが、当時は1回の調査に1か月以上、費用も100万円以上もかかっていたのです。そんな中、ネットを使えばもっと手軽でスピーディなリサーチサービスができるのではないか、という使う側の発想から始まったのが弊社の事業です。リサーチ業界出身者ではなかったからできた価格設定とスピードだったと思うのですが、これは劇的な変化だったと思います。当初は品質に問題があるのでは?といった批判をされたりしましたが、徐々に信頼を得、今年7月には杉本が日本マーケティングリサーチ協会の理事に選ばれるなど、リサーチ業界の中でも認められる存在になってきました。


――提供しているサービスについて教えてください

[柴田]  基本はAIRs(エアーズ)という弊社独自開発の自動インターネットリサーチシステムを使ったネットリサーチサービスです。リサーチの各工程を極力自動化することで、費用は5万円から、リサーチ開始からデータ納品まで24時間以内という手軽でスピーディなサービスを行なっています。
 また、最近はサービスのバリエーションを広げ、日本国内の医師の45%にリーチできる医療分野に特化したリサーチサービスM3Mill(エムスリーミル)や、企業のIT関連機器の導入決裁者にリサーチできるKeyman's Mill(キーマンズミル)、携帯電話を活用したMobileMill(モバイルミル)、アジア・北米・ヨーロッパなど世界25カ国500万人以上の消費者を対象にしたグローバルリサーチが可能な、GlobalMill(グローバルミル)なども提供しています。海外市場調査というと、従来は国別に色々な調査会社を経由してパネルを手配しなければならなかったり、翻訳会社も必要だったりと非常に手間とコストがかかりましたが、GlobalMillならばそういった全ての部分をワンストップで提供することができます。


ベンダーとの適度な緊張関係が重要。
依存しないようにすべき

――基幹システムの再構築を行っているそうですね

[柴田]  弊社では、基幹システムであるAIRsの作り替えを3年タームで行っており、現在開発中のものは三世代目になります。ネットリサーチは急速に伸びている分野で、あんな調査はできないか、こんな調査はできないかと調査はどんどん複雑化しています。そして、その複雑な要望をいかにシンプルなオペレーション、ミスの出ないオペレーションで行なえるシステムを作るのかという部分が極めて重要ですので、日々システムに手を入れていて、3年くらい使うと、土台から作り直す方がビジネスにマッチしているのです。
 システム開発を始めるとやりたいことがどんどん出てくるので、どの程度の機能までをどの程度のコストで行なうのか、そのコンセンサスを社内で得るのに時間か掛かりますね。全社に対して導入の費用対効果を説明できなければなりません。


――開発に参加するベンダーはどのように選択するのでしょうか

[柴田]  今回のAIRs3の場合、10社くらいに提案を出していただきコンペ形式で決定しました。選択基準は一言で言うのはなかなか難しいですね。技術力、コスト、対応力、それらのバランスですが、柔軟にビジネスを展開していきたいと考えているので、対応力の高い、一緒にサービス作りを行なっていく感覚を共有できるベンダーを選択しています。
しかし、実際に一緒に付き合ってみないと正直わからない部分も多いですから、弊社では常に新しいベンダーを開拓してお付き合いをして、相性の合うより良いベンダーを探しております。また、自社内のエンジニアがシステムをすべて把握しているということは重要だと思っています。すべてを社内で行なうのは難しいですが、的確なマネジメントのもとにベンダーをコントロールし、外部に依存しすぎたり、逆にすべてを社内でこなそうというのではなく、お互いに適度な緊張関係を保ちながら一緒にものづくりをしてゆくことに気をつけています。
 製品や業界動向の最新情報をキャッチしておく必要もあります。弊社のシステムではデータベースに大きな負荷がかかるため、データベースの構築・運用事例の情報を収集し、、常に一番よい形を模索しています。そのため同じような業態の企業とパイプを作り、密に情報交換も行っています。


システム部門で活躍するには
技術・ビジネス両方の知見が必要

――プロジェクトを進める際、関連部署調整でどのような事を心掛けていますか

[柴田]  弊社の場合、システムが商品の基盤であり、ビジネスに直結しています。ですから、マクロミルの商品としてシステムはどうあるべきかというビジネス感覚を、システム部門が持っていなければなりません。企画を企画部門にまかせるのではなく、会社全体のビジネスを理解した上で、こういうシステムを作るべきだとシステム部門から提案する必要があるのです。営業部門、企画部門、業務部門など各部署からの意見を吸収し、技術的な可能不可能を考慮した上で、トータルに判断して最適な解をどこまで提案できるのかが、一番おもしろい部分でもあり、難しい部分でもあります。コストについても、「将来のビジネスの伸びを考えれば、ここまで作りこんで、システムにはここまでコストをかけられるはず」というところまで主張すべきです。


――そういうことができる人材はどのように確保するのでしょうか

[柴田]  システム部門の人材は、専門的な知識が必要ですから他部署に異動するケースが少ないように思いますが、弊社では、システムから営業に異動したり、事業の企画セクションに異動したりと、人材を流動化させています。技術だけではなく、営業や商品企画などの経験を積ませることがとても重要だと思います。経験があれば、トータルな判断力が育ってきますし、逆に経験しないものはわからないと思います。経営幹部を育てるためにあえて様々な部門を経験させることは良くあると思うのですが、よいシステム部門の人材を育てるためにはシステム以外の業務経験をし、トータルなビジネス感覚を育てるのが重要だと思います。
以前は、業務のわからないシステムエンジニアは使い物にならないといわれましたが、最近は、業務がわかっているというさらに一歩上の、ビジネスがわかっているシステムエンジニアが求められています。全社的な観点に立って、青写真を描ける人でないとシステム部門で活躍できません。そのためには、技術者であり、サービスのプロデューサーでもあるというのが、CIOのあるべき姿だと、私は考えています。

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