NRIセキュアテクノロジーズ 高梨 素良
早稲田大学大学院国際通信研究科卒業後、2007年に野村総合研究所に入社。NRIセキュアテクノロジーズに出向し、システムのセキュリティをチェックする「セキュリティ診断」サービスや、最新サイバーセキュリティ情報の調査・研究・情報提供を通じて数多くのプロジェクトに参画。
4月下旬、AP通信社のTwitterアカウント(@AP)がこんな“つぶやき”をしました。「ホワイトハウスで爆発、オバマ大統領負傷。」──ははっ、まさか。とお思いでしょう。そうです、これは虚報です。ただしAP通信が故意に発したものではなく、ハッカーチームが当該アカウントをハッキングして流したものです。この虚報に米株式市場が直ちに反応し、ダウ平均株価が一瞬にして140ポイント程度急落するという事態が発生したため、大いに世間の耳目を集める結果となりました。本事件には今日のサイバーセキュリティにおける重要なエッセンスがいくつも詰まっていますので、1つのケーススタディとして4つの視点からこの事件とその背景をご説明したいと思います。