• 2025/03/19 掲載

実質金利は極めて低水準、今後も見通し実現なら利上げ=日銀総裁

ロイター

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Kentaro Sugiyama Takahiko Wada

[東京 19日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は19日、金融政策決定会合後の会見で「現在の実質金利は極めて低い水準にある」との認識を示し、今後も日銀の経済・物価見通しが実現していけば政策金利を引き上げて金融緩和度合いを調整していくと述べた。その上で、2%の物価安定目標の下、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していくと語った。

日銀はこの日、金融政策の現状維持を全員一致で決めた。声明文では、トランプ米政権の関税政策と各国の対抗措置が海外の経済・物価に及ぼす影響などをリスク要因に挙げ、日本の経済・物価を巡る不確実性は「引き続き高い」と指摘した。

植田総裁は、米国の関税政策が日本を含めた各国の経済に与える影響を見極めて政策を決めていくスタンスに「変わりはない」と述べた。トランプ米大統領の円安批判についてはコメントを控えた。

<長期金利、急激に上昇なら機動的なオペも>

足元の長期金利の上昇傾向については、最近のインフレや実質国内総生産(GDP)のデータ、直近の賃金に関する動き、ドイツの金利上昇などに反応しているというのが市場での見方と理解している、と語った。

長期金利は市場で形成されるものだが、通常の価格形成と異なる形で急上昇する例外的な場合には機動的なオペを実施することもあり得ると改めて述べ、「現状はそうした状況ではない」としつつ引き続き市場動向を注視していきたいとした。

<足元の物価上昇、国民生活にマイナス影響>

植田総裁は、足元の強い物価の伸びが「国民生活にマイナスの影響を与えていることは十分に認識している」と指摘。「コメを含む食料品などの価格上昇が、家計のマインドや予想物価上昇率の変化を通じて基調的な物価上昇率に影響を及ぼし得る点は認識しておく必要がある」と語った。

基調的な物価上昇率については「徐々に高まってきているが、なお2%下回っているとの認識に変わりはない」とした。

連合が14日発表した春闘の1次集計の賃上げ率は加重平均で5.46%と、1991年以来34年ぶりの高水準となった。植田総裁はこの結果について「1月会合時点の想定におおむね沿ったもの」と評価。中小企業の動向も含めて丁寧に確認していく必要があるとの認識を示した。

賃金・物価は1月会合時に比べてやや強めだが、海外の不確実性は高いと指摘。両者を見極めて次回以降の会合で政策判断していくと述べた。

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