- 2025/03/06 掲載
セブンが社長交代、北米コンビニ上場へ 30年度までに自社株買い2兆円
Nobuhiro Kubo Ritsuko Shimizu
[東京 6日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスは6日、井阪隆一社長の交代とともに北米コンビニエンス事業の新規株式上場(IPO)計画、さらにイトーヨーカ堂など非中核事業の売却を発表した。カナダ社から買収提案を受ける中、新社長の下でコンビニ事業に経営資源を集中し、同時に2兆円規模の自社株買いなど株主還元を強化する姿を示した。
社長交代は9年ぶり。5月27日に開く定時株主総会の承認を経て、社外取締役で取締役会議長のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏が新社長に就任する。外国人がセブンのトップとなるのは初めて。井阪社長は特別顧問に就く。
デイカス氏はウォルマート傘下にあった西友のCEO(最高経営責任者)などを歴任。カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールからセブンが受けている買収提案などを精査・検討する特別委員会の委員長を務めていたが、同職務は社外取締役のポール与那嶺氏が引き継ぐ。
井阪社長は1980年にセブン-イレブン・ジャパンに入社し、09年5月に社長に昇格した。16年には鈴木敏文会長兼CEOから井阪社長更迭の人事案が出たものの、僅差で否決。井阪氏が後任としてホールディングスの社長となった。
昨年8月にクシュタールから買収提案を受けたセブンは、対抗策として伊藤順朗副社長ら創業家がMBO(経営陣が参画する自社買収)を提案。しかし、資金の主要な出し手として打診した伊藤忠商事が参画しないことを決めたことから断念した。
この日会見したデイカス次期社長は「クシュタールが(セブンの)企業価値を高めるかどうか、私にも分からない。建設的、定期的な話を進めているが、特に米国で規制のハードルは高い」と語った。
セブンは今後、経営資源をコンビニ事業に集中し、とりわけ海外で成長を模索する。北米コンビニ事業は2026年下半期までのIPOを目指す。株式の過半数を保有し続け、セブンとの相乗効果の維持を図る。
一方で、コンビニ事業は世界的に物価が上昇する中で国内外とも減益に直面している。デイカス次期社長は「(日本と)同じ品質の食品を米国に持ち込めれば、非常に大きな、持続可能な成長の源泉になると考えている」と述べた。
また、セブンはヨーカ堂や食品スーパーのヨークベニマルなど非中核事業を束ねる中間持ち株会社を米投資ファンドのベイン・キャピタルに売却することを決定した。売却額は8147億円で、北米コンビニ事業のIPOで調達する分と合わせ、30年度までに総額2兆円の自己株式取得を通じて株主に還元する。通常の事業運営から創出する利益についても累進配当を実施する。
セブンは中間持ち株会社の売却後に約35%分を再出資する。創業家も5%分を再出資し、ベインの持ち分は60%になる。
セブン銀行株の保有比率を40%未満に引き下げ、連結範囲から除外する方針も決めた。
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