- 2024/04/07 掲載
PER2年ぶり高水準、決算発表に注目=今週の米株式市場
[ニューヨーク 5日 ロイター] - 米株式市場ではS&P総合500種指数採用銘柄の予想株価収益率(予想PER)が約2年ぶりの高水準に達しており、こうしたバリュエーション(価値評価)が妥当なのか、今後数週間の決算発表に注目が集まりそうだ。
S&P500指数は年初から9%以上上昇。第1・四半期としては2019年以来の大幅な上昇を記録した。市場関係者は、このペースの株高を維持するのはハードルが高いかもしれないと指摘、企業に好決算を求める圧力が強まっている。
LSEGデータストリームによると、S&P500指数採用銘柄の12カ月先予想PERは20.7倍。3月下旬に記録した約2年ぶりの高水準21.2倍に近い水準にある。市場では高利回りの米国債の魅力が増しており、平凡な決算では株式を継続保有する妙味が薄れるとの見方が浮上する可能性がある。
投資家は景気やインフレについて企業がどのような見解を示すかにも注目するとみられる。底堅い景気とインフレ鈍化という「ゴルディロックス経済」が今後も続くかを見極めたい考えだ。
ここ数週間はインフレが根強いとの見方で年内の利下げ幅の予想が下方修正されたが、5日の株式市場は予想を上回る雇用統計を受けて値上がりした。
BMOウエルス・マネジメントのYung-Yu Ma最高投資責任者は「大幅な株高が続くには、企業決算が予想に一致するだけでなく、予想を上回る必要があるだろう」と指摘した。
4月第2週はデルタ航空、ブラックロック、JPモルガン・チェースなどが第1・四半期決算を発表する。10日発表の3月の米消費者物価指数(CPI)にも注目が集まる。
LSEGのデータによると、アナリストは第1・四半期の企業の増益率を5%と予想。これは昨年第2・四半期以来の低水準だ。利益率を圧迫する要因として、高金利、コモディティー価格の上昇、インフレ鈍化に伴う価格決定力の低下が指摘されている。昨年第4・四半期は10.1%の増益だった。
投資家心理はエヌビディア、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなど超大型ハイテク企業の決算に大きく左右される可能性がある。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ブライアント・バンクロンカイト氏は「こうした企業は高いバリュエーションを正当化できなければならない。投資家は何が収益の柱になるのか、今後の見通しはどうなのか、あらゆる企業に説明を求めている」と述べた。
好調な国内経済が製造業やエネルギーなど景気に敏感なセクターの増収増益につながっているかにも注目が集まる。今年はハイテク株や成長株の上昇が波及し、こうしたセクターも総じて株価が堅調に推移している。
チャールズ・シュワブのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、リズ・アン・ソンダーズ氏は、期待に応えられなかった企業は「罰せられる」とし「(決算が)どの程度、予想を上回るかに加え、利益率も重要だ」と述べた。
これまで同様、FRBの金融政策の行方も投資家心理を左右する。企業が好決算を発表し、物価上昇の兆しが強まれば、利下げがさらに遠のくとの見方が広がる可能性がある。
先物市場が予想する年内の利下げ幅は、3月の米雇用統計が予想を大幅に上回ったことを受けて、約70ベーシスポイント(bp)となった。1月時点の150bpから大幅に低下している。
一方で、企業決算が予想を下回れば、米経済が盤石ではないとの見方が浮上し、FRBが利下げを進める根拠が強まるとの指摘も一部で出ている。
ヘニオン&ウォルシュ・アセット・マネジメントのケビン・マーン最高投資責任者「悪いニュースは市場にとっては良いニュースかもしれない。誰もが期待しているFRBの利下げにつながるからだ」と述べた。
関連コンテンツ
PR
PR
PR