- 2024/03/10 掲載
東電、収益多角化で進展=柏崎原発は売却を―橘川武郎・国際大学学長
エネルギー問題に詳しく、経済産業省の有識者会議で委員を務めた国際大学の橘川武郎学長はインタビューに応じた。主なやりとりは次の通り。
―東京電力ホールディングスは収支改善を柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に頼っている。
その評価は正しくない。再生可能エネルギー事業を手掛ける東京電力リニューアブルパワーは、国の洋上風力の公募事業の案件を落札した。中部電力と折半出資する発電会社JERAは、化石燃料を水素やアンモニアといった新エネルギーに置き換える火力発電に注力している。やるべきことはやってきた。
―柏崎刈羽原発を再稼働するには。
事故を起こした東電が原子力事業を続けるのはおかしい。柏崎刈羽原発は地元の電力会社である東北電力に売却すべきだ。新潟県民が最も不安に感じるのは東電が地元の会社ではないため、有効な避難計画をつくれないということだ。
東北電だけでは柏崎刈羽原発は買えないので、複数の原子力事業者の共同出資で新しい会社をつくってはどうか。(東電が得る)売却益は福島復興に充て、(事故処理費用の)不足分は国民負担にするしかない。
―東電が進めるべき他社との戦略的提携は。
東電と東北電それぞれの送配電部門は合併すべきだ。東北地方は再エネの宝庫だ。東電は、気象条件で発電量が左右される太陽光などを補完できる水力発電を多く保有している。東北電と一体運用すれば再エネの導入が広がるだろう。
―小売り事業は発電用の燃料費の高騰が直撃する構造で脆弱(ぜいじゃく)だ。
日本の電源構成の7割は火力発電なので、燃料価格の動向に業績が左右されるのは仕方ない。再エネや原子力の比率を高めていくべきだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕橘川武郎国際大学学長(同大学提供)
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