- 2024/03/08 掲載
NY市場サマリー(7日)ドル下落、利回り低下 S&Pが最高値更新
一方、欧州中央銀行(ECB)が7日、政策金利を予想通り据え置いたことを受け、ユーロは序盤に横ばいで推移。ただ、その後は上昇し、対ドルでは約1カ月ぶりの大幅な上げを記録。6週間ぶりの高値を付けた。
パウエル議長は上院銀行委員会の公聴会で行った証言で、「われわれは正しい位置にいる。インフレ率が持続的に(目標とする)2%に向かっていると確信が得られるのを待っている」と述べた。
パウエル議長は前日の下院金融サービス委員会の公聴会で、利下げ開始時期とそのペースは経済データのみに基づいて決定されると述べた。
バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「パウエル議長の発言は前日よりもハト派的だったようだ」と指摘。投資家のリスク選好度が高まっていることもドルの重しになっていると述べた。
ユーロ/ドルは0.45%高の1.0944ドル。
ECBは年内の利下げに慎重な姿勢を示した。
ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「(インフレ率の)明確な低下が進行中であり、インフレ目標に向けて順調に前進している。その結果、われわれはより自信を深めているが、十分ではない」と指摘。「今回の理事会では利下げについて議論しなかった」としながらも、「制約的なスタンスの縮小について討議し始めたところだ」と述べた。
CIBCの北米外為戦略部門の責任者、ビパン・ライ氏は、この議論は「ECBが刺激策を縮小する出発点に近づきつつある」ことを示唆しているとした。
また、アナリストによると、この日のユーロ高はユーロに対する投資家の姿勢に大きな変化があったというよりも、ドル安の影響が大きいという。
一方、日本円は対ドルで今年最大の上昇を記録。日本銀行が今月中にも利上げに踏み切るとの観測が高まった。
ドル/円は0.92%安の148.04円と1カ月超ぶりの安値を付けた。
日銀の中川順子審議委員は7日、島根県金融経済懇談会であいさつし、企業の賃金設定を巡る姿勢に明確な変化の兆しが見られるなど、経済・物価情勢は2%物価目標の実現に向けて「着実に歩を進めている」と述べた。
ポンド/ドルは0.58%上昇した。
暗号資産(仮想通貨)では、ビッtコインが1.8%高の6万7681ドルとなった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 2月の米雇用統計の発表を翌日に控え、国債利回りが低下した。
終盤の取引で10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の4.092%。一時は4.054%と、2月5日以来の水準に低下した。
FRBによる利下げ観測の高まりを背景に、10年債利回りは先月に付けた3カ月ぶり高水準から低下している。ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチーフ債券ストラテジスト、ガイ・ルバス氏は「FRBの利下げ開始が近づくにつれ、米国債利回りは若干さらに低下する」との見方を示した。
パウエルFRB議長はこの日に上院銀行委員会の公聴会で行った証言で、FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信は「そう遠くない」将来に得られるとの考えを表明。前日の下院金融サービス委員会での証言では「経済が予想通り大幅に進展すれば、今年のある時点で政策抑制の縮小を開始するのが適切な可能性が高い」と述べていた。
CMEフェドウオッチによると、市場ではFRBが6月に利下げに着手する確率が72%であることが織り込まれている。
終盤の取引で2年債利回りは4.508%と、2月15日以来の低水準を付けた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続伸。S&P総合500種が1%上昇し終値で最高値を更新した。ナスダック総合も1.5%上昇。FRBの利下げ見通しを巡る楽観的な見方からテクノロジー株とグロース(成長)株が上げを主導した。
人工知能(AI)関連需要の拡大で半導体企業が恩恵を受けるとみられる中、フィラデルフィア半導体指数が3.36%高と市場全般をアウトパフォームし、過去最高値を付けた。
ナスダックは取引時間中の最高値を更新したが、終値での最高値にはわずかに届かなかった。
FRBのパウエル議長は7日、上院銀行委員会の公聴会で行った証言で、利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する確信は「そう遠くない」将来に得られるとの考えを示した。
これを受けて6月の利下げ観測が高まった。市場はパウエル議長の議会証言までの数日間失速していた。
アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリンベン氏は「(パウエル氏は)事実上、年内利下げの可能性があることを示した。市場はこれを聞きたかった」とし、市場は雇用データも好感していると指摘。これらのデータは雇用が鈍化するものの依然底堅いという見通しを支持する内容となっていると話した。
その上で、労働市場の状況をさらに見極めるため8日発表の雇用統計が注視されていると指摘した。
ハンティントン・プライベート・バンクのジョン・オーガスティン最高投資責任者(CIO)は「何か悪いことが起こるのではと誰もが身構えていたが、経済、市場、企業収益、政策に何も悪いことは起きていない。そのためモメンタムが強まっている」と述べた。
S&P主要11セクターでは9セクターが上昇。情報技術が1.89%高、通信サービスが1.84%高と上げを主導した。
メタ・プラットフォームズは3.2%高、半導体大手エヌビディアは4.5%高となった。
女性下着ブランドのビクトリアズ・シークレットは通期業績予想がさえず、29.7%急落した。
スーパーマーケット大手クローガーは9.8%上昇。通期の売上高・利益見通しが市場予想を上回った。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米利下げ期待が根強い中を、6営業日続伸した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比7.00ドル(0.32%)高の1オンス=2165.20ドルと、5営業日連続で史上最高値を更新した。
米利下げ観測が強まる中、対ユーロでドルが下落。ドル建てで取引される商品の割安感が生じ、金は買いが優勢となった。
中東情勢の不安定化を背景とした安全資産としての金需要も引き続き相場の支援材料となった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米中両国のエネルギー需要鈍化への警戒感が重しとなり、小反落した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.20ドル(0.25%)安の1バレル=78.93ドル。5月物は0.09ドル安の78.32ドルだった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 148.03/148.06
始値 147.84
高値 148.29
安値 147.59
ユーロ/ドル NY終値 1.0946/1.0950
始値 1.0893
高値 1.0949
安値 1.0869
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.50 4.2471%
前営業日終値 100*06.00 4.2390%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*09.00 4.0885%
前営業日終値 99*05.00 4.1040%
5年債(指標銘柄) 16時59分 100*25.00 4.0748%
前営業日終値 100*18.75 4.1190%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*07.25 4.5034%
前営業日終値 100*03.75 4.5620%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 38791.35 +130.30 +0.34
前営業日終値 38661.05
ナスダック総合 16273.38 +241.83 +1.51
前営業日終値 16031.54
S&P総合500種 5157.36 +52.60 +1.03
前営業日終値 5104.76
COMEX金 4月限 2165.2 +7.0
前営業日終値 2158.2
COMEX銀 5月限 2457.8 +8.5
前営業日終値 2449.3
北海ブレント 5月限 82.96 ‐0.00
前営業日終値 82.96
米WTI先物 4月限 78.93 ‐0.20
前営業日終値 79.13
CRB商品指数 279.0915 +0.9710
前営業日終値 278.1205
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