- 2024/03/07 掲載
NY市場サマリー(6日)ドル下落・長期債利回り低下、株反発 FRB議長証言受け
パウエル議長は下院金融サービス委員会の公聴会で「経済が予想通り大幅に進展すれば、今年のある時点で政策抑制の縮小を開始するのが適切な可能性が高い」と指摘。同時に「2%のインフレ目標に向けた継続的な進展は保証されていない」とも述べた。
ユーロ/ドルは0.37%高の1.0897ドル。一時は2月2日以来の高値となる1.09155ドルまで上昇した。
ストーンXの市場調査責任者マット・ウェラー氏は「パウエル氏は証言の冒頭、自身や他の当局者が何カ月も述べてきたことを基本的に繰り返した」と指摘。ただ、市場ではここ数週間、FRBが今年前半の利下げを敬遠するとの見方が出ていたとし、「パウエル氏がその可能性を支持しなかったことで、一部トレーダーは過去数週間のドル買いを巻き戻した」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.41%安の103.36。
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が6日発表した2月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数の増加数が14万人と、ロイターがまとめたエコノミスト予想(15万人)を下回った。転職しなかった労働者の賃金上昇率は前年比5.1%と1月の5.3%から鈍化し、2021年8月以降で最小となった。
ポンド/ドルは0.25%高の1.2738ドル。 ハント英財務相は6日、議会での春季財政報告(春の予算編成方針)で、労働者が納める国民保険料の料率を賃金の2%ポイント分引き下げる方針を打ち出した。
ドル/円は0.45%安の149.38円。時事通信は6日、日銀が3月18、19日に開く金融政策決定会合で、一部の出席者がマイナス金利解除が妥当と意見表明する見通しであることが分かったと報じた。
米ドルは対カナダドルでも0.57%下落。カナダ銀行(BOC、中央銀行)は6日、政策金利を5.0%に据え置き、基調的なインフレが持続していることを踏まえると、利下げを検討するのは尚早とした。
豪ドルは0.94%高の0.6565米ドル。
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは5.76%高の6万6963ドル。前日は過去最高値を更新後に大きく下げていた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> パウエルFRB議長の議会証言を受け、長期債の利回りが1カ月ぶりの水準に低下した。
パウエル議長は下院金融サービス委員会の公聴会で行った証言で「経済が予想通り大幅に進展すれば、今年のある時点で政策抑制の縮小を開始するのが適切な可能性が高い」と指摘。同時に「経済見通しは不透明で、2%のインフレ目標に向けた継続的な進展は保証されていない」とし、利下げが早すぎてインフレが再加速するリスクと、金融引き締めが長すぎて現在の景気拡大にダメージを与えるリスクの両方に言及した。
ステート・ストリート(ボストン)のシニア・グローバル・マクロ・ストラテジスト、マービン・ロー氏は「パウエル議長はかなりストレートに利上げは終了したと表明した」とし、「彼らは、政策は十分に制約的で、その役割を果たすと感じている。どの程度の時間がかかるかが焦点になる」と述べた。
労働省が8日に発表する2月の雇用統計がFRBの政策の行方の手がかりになる可能性があるほか、市場は来週発表される2月の消費者物価指数(CPI)にも注目。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のマクロ・ストラテジスト、ウィル・コンパーノール氏は、市場では経済の「過熱」も懸念されていると指摘。ただ、これが問題になるのはインフレ率が高い場合のみだとし「雇用統計がほぼ予想通りの結果になれば、全てはCPI次第になる」と述べた。
終盤の取引で10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低下の4.108%。一時は4.079%と、2月7日以来の低水準を付けた。
2年債利回りは1bp上昇の4.552%。ただ、一時は4.510%と、2月15日以来の水準に低下した。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス45bp。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 主要3指数がいずれも反発して取引を終えた。経済指標やパウエルFRB議長の発言を受け、年内の利下げ観測が高まった。
パウエル議長は6日、下院金融サービス委員会の公聴会で、年内に利下げを開始する見通しを示し、米経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクがあるとは考えていないことを示唆した。ただ利下げ時期については明言を避けた。
FRBは利下げ前に「インフレ率が2%まで持続的に低下していることを確認し、かつその確信を高めるさらなるデータを見ることを望んでいる」と述べた。
LPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「パウエル議長はFRBが年内の利下げを見込んでいることを明確にした。市場はこれを聞きたかった。あいまいな表現もあったが、全般的なメッセージは明確だった」と指摘した。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ラスキーニ氏は、パウエル議長の証言とともに、6日発表の経済指標も利下げへの期待や労働市場への信頼感を高めたと述べた。
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が6日発表した2月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数の増加数が14万人と、ロイターがまとめたエコノミスト予想(15万人)を下回った。
また、米労働省発表の1月雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は2万6000件減の886万3000件となった。
ラスキーニ氏は「求人数はやや減少したが依然としてかなり健全で、引き続き労働市場の底堅さを示している。コンセンサスになったゴルディロックスのシナリオに合致する」と語った。
S&P総合500種の主要11セクターでは9セクターが上昇。金利動向に敏感な公益事業が約1%高、情報技術が0.9%高と上げを主導した。一般消費財は0.4%安で下落率が最大だった。
この日は前日にアンダーパフォームしていた半導体株が市場全般をアウトパフォーム。フィラデルフィア半導体指数は2.4%上昇し、過去最高値で引けた。同指数が終値で最高値を更新するのは過去5営業日中4日目。
電気自動車(EV)大手テスラは2.3%安。3日続落した。注目されるモルガン・スタンレーのアナリストが目標株価を引き下げ、大幅な値下げにもかかわらず、中国など主要市場でEVの需要鈍化が続いていると指摘した。
中国電子商取引大手JDドットコム(京東商城)の米市場上場株は16.2%急伸。四半期売上高が市場予想を上回ったほか、自社株買いプログラムを拡大した。
暗号資産(仮想通貨)関連株も買われ、コインベース・グローバルは10%高、マイクロストラテジーは18.6%高。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> パウエルFRB議長の議会証言を受けて利下げ期待が一段と拡大し、5営業日続伸した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比16.30ド ル(0.76%)高の1オンス=2158.20ドルと、4営業日連続で史上最高値を塗り替えた。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米エネルギー需給の引き締まり観測や年内の米利下げ開始期待を背景とした買いに支えられ、3営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物は前日清算値(終値に相当)比0.98ドル(1.25%)高の1バレル=79.13ドル。5月物は1.00ドル高の78.41ドル。
米エネルギー情報局(EIA)が午前発表した週間在庫統計によると、1日までの1週間の米原油在庫は前週比140万バレル増と、市場予想(210万バレル増)を下回る積み増し。ガソリン在庫は450万バレル減、ディスティレート(留出油)は410万バレル減と、減少幅はいずれも市場予想(160万バレル減、70万バレル減)を大きく上回った。在庫統計を受け需給引き締まり観測が広がる中、相場は一時80.70ドル近くまで上昇した。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 149.37/149.41
始値 149.71
高値 149.78
安値 149.10
ユーロ/ドル NY終値 1.0897/1.0901
始値 1.0874
高値 1.0915
安値 1.0868
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*04.50 4.2415%
前営業日終値 99*19.00 4.2740%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*04.00 4.1078%
前営業日終値 98*28.50 4.1370%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*18.50 4.1203%
前営業日終値 100*16.00 4.1380%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*03.75 4.5619%
前営業日終値 100*04.38 4.5520%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 38661.05 +75.86 +0.20
前営業日終値 38585.19
ナスダック総合 16031.54 +91.96 +0.58
前営業日終値 15939.59
S&P総合500種 5104.76 +26.11 +0.51
前営業日終値 5078.65
COMEX金 4月限 2158.2 +16.3
前営業日終値 2141.9
COMEX銀 5月限 2449.3 +50.9
前営業日終値 2398.4
北海ブレント 5月限 82.96 +0.92
前営業日終値 82.04
米WTI先物 4月限 79.13 +0.98
前営業日終値 78.15
CRB商品指数 278.1205 +2.2951
前営業日終値 275.8254
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