- 2024/03/06 掲載
「バーゼル3」最終化、米当局は資本要件を大幅緩和へ=関係筋
[ワシントン 6日 ロイター] - 米金融規制当局は国際的な銀行資本規制「バーゼル3」最終規則で義務付ける資本の上乗せ幅を大幅に圧縮する見込み。関係筋が明らかにした。
米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁は昨年7月、「バーゼル3最終化」の実行細則案を公表。資産が1000億ドルを超える銀行について、損失吸収のための資本計算を見直した。これに対し大手行から激しい反発が出ていた。
影響を受ける金融機関三十数社は約16%の資本上積みが必要になるとしていたが、草案の大幅な修正に着手した結果、上乗せ幅は大幅に圧縮される見込み。
関係者3人によると、オペレーショナルリスクの計算方法の変更が縮小に最も寄与する。銀行は投資銀行業務などのレンディングサービスに関連する手数料収入のリスクウエートを引き下げるよう求めていた。
低所得者向け住宅ローンや再生可能エネルギー税額控除についても、リスクウエートを廃止または削減する方針。
検討は初期段階で決定はまだ下されていないという。
<FRB内部にも反対論>
関係者3人によると、バーFRB副議長(金融規制担当)はパウエル議長と共に草案の修正に着手した。政府高官はパウエル氏が「大幅な」変更を求めていると明らかにした。
大手金融機関はこれまで、広告の展開や議会への働きかけ、訴訟を起こす可能性を示唆するなどしたりするなど反発してきた。また規制当局に草案を撤回して再提案するよう求めている。
当局は再提案するかどうかは決めていないが、そうなれば作業が遅れ新大統領の下で導入される可能性がある。
規制案にはFRB内にも異論があり、ボウマン、ウォラー両理事は借り手に損害を与えるとして提案に反対票を投じた。ジェファーソン副議長とパウエル氏も懐疑的な姿勢を示していた。
FRBとFDICの合意が課題として浮上する可能性がある。関係筋によると、バーゼル3最終化の当初案はもっと弱いもので、2023年初めから1桁の資本上乗せを想定していた。しかし特にシリコンバレー銀行の破綻後、FDICなど一部の当局者から大規模な資本増強を求める声が強まったという。
一部の当局者は夏までに規則をまとめたい考えだが、ある当局筋は野心的すぎる可能性があると述べた。
関連コンテンツ
PR
PR
PR