- 2024/03/01 掲載
中国のEV関連対外直接投資、昨年は過去最高の情勢=調査会社
[北京 29日 ロイター] - 米調査会社ロジウム・グループの報告書によると、電気自動車(EV)のバリューチェーンに関する中国の対外直接投資は昨年、過去最高を更新したもようだ。
中国企業は昨年、EV関連産業に282億ドルを投資。これは2022年の投資実績の297億ドルより若干少ないが、EV大手比亜迪(BYD)のハンガリー工場や、バッテリー大手国軒高科(Gotion)によるスロバキアの電池生産会社への25%出資など、金額不明の大型プロジェクト数件が含まれていない。
コンサルタント会社オートモビリティーの推計では、中国は年間で1000万台余りのEVを生産している。これは22年の北米全体の生産量の3分の2に相当する。
一方で欧州連合(EU)の通商政策は現在、中国に対して保護主義色が濃くなっており、昨年9月には中国の自動車メーカーが政府の補助金により不当な恩恵を受けていないかどうかを判断するための調査を開始。米政府は昨年12月、電池のサプライチェーン(供給網)から中国を排除する計画を明らかにした。
ロジウム・グループは「こうした規制の動きが、中国の生産会社による追加投資に拍車をかけた。中国の生産会社は、輸出のみに依存する戦略では相手国の政治的な反発を招き、収益性の高い市場から中国企業が除外される恐れがあることに気付いている」と説明した。
報告書によると、こうした状況は特に、米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結している韓国とモロッコに恩恵をもたらす情勢だ。バイデン米政権はFTA締結国を優遇する規則に基づき、中国で生産された鉱物やバッテリー部品の輸入を抑制しようとしているが、中国企業は韓国やモロッコへ投資により、こうした米政権の対中政策をかいくぐれる可能性がある。
ロジウム・グループは「中国のバッテリー生産会社は、拡大する需要と高まるリショアリングの圧力に対応したとみられ、自社の海外事業の拡大によってさらなるサプライチェーンを構築しつつある」と分析した。
中国の国内EV市場が減速したことも、中国の生産会社を海外投資の拡大へと駆り立てる要因となっている。
これに対して欧米の自動車メーカーは、輸送コストを軽減するとともにサプライチェーンの混乱を未然に防ぐため、自社工場の近くに電池メーカーが拠点を設立することを望んでいる。
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