- 2024/03/01 掲載
ユーロ圏主要国のインフレ鈍化、ECB利下げ着手を後押し
ドイツ連邦統計庁が29日発表した2月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比2.7%上昇。伸びは1月の3.1%から鈍化した。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)発表の2月のEU基準のCPI速報値は前年同月比3.1%上昇。食品や製品、サービス価格の上昇が鈍化したことから、伸び率は1月の3.4%を下回った。
スペインでもエネルギーと食品価格の動向を反映し、インフレ率は3.5%と、2.9%から鈍化した。
こうした中、3月1日に発表される2月のユーロ圏のCPI(HICP)は前年同月比上昇率が2.5%と、1月の2.8%から縮小し、ECBが目標とする2%に一段と近づくと予想されている。
オックスフォード・エコノミクスのレオ・バリンコウ氏は「ユーロ圏でディスインフレが続いていることが示され、2月のインフレ率の若干の低下が示唆された」としている。
<コア指数は高止まり>
ただECB当局者は、変動の大きい品目の価格低下が全体のインフレ率低下の背景にあると指摘。INGのエコノミスト、カーステン・ブルゼスキ氏は「総合インフレ率は良好に推移しているが、その基底にある懸念すべき物価圧力はまだ解消していない。このため、ECBは拙速な利下げは回避するだろう」としている。
実際、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数の上昇率はドイツで3.4%と、前月から横ばい。スペインのコアインフレ率も3.4%と、高止まりしている。
<ドイツで失業者が予想以上に増加>
ECBは、サービスや賃金の伸びなどの面で懸念が残る中でも、インフレ率が目標に近づきつつあることから利下げに軸足を傾けている。
この日にドイツ連邦雇用庁が発表した2月の失業者数(季節調整済み)は1万1000人増の271万3000人と、予想以上に増加。労働市場に起因する物価圧力を巡り、ECBにとって朗報となる可能性がある。
ECBの次回理事会は3月7日。政策変更は予想されていないが、インフレ見通しは改善しているとの認識を示し、年央あたりの利下げ着手に道を開く可能性がある。
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