- 2024/02/01 掲載
デフレ短期脱却に自信=消費増税に懸念も―日銀13年下期議事録
日銀が31日公表した2013年下半期(7~12月)の金融政策決定会合議事録では、黒田東彦総裁の下、国債を大量購入する「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」の導入で、短期間でのデフレ脱却に自信を深めていった様子が示された。早期に物価が上昇に転じ、楽観的な見通しに傾いた。ただ、翌年4月の消費税増税が景気や物価の下押しにつながるとの懸念も徐々に高まった。
日銀は13年4月、2年でマネタリーベース(資金供給量)を倍増させ、物価上昇率を2%に引き上げる異次元緩和を開始。マイナスだった全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年同月比はプラスに転じ、黒田氏は8月8日の会合で「緩和的な金融環境は、予想物価上昇率を高める方向に作用する」と手応えを示した。
日銀は7月と9月に景気判断を引き上げ、経済の好循環実現に向けて「道筋を順調にたどっていく」(中曽宏副総裁)、「金融緩和を続けていけば、その効果が実体経済に本格的に及ぶ」(岩田規久男副総裁)などの見方が強まった。
政府は10月、消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げると決定した。会合では「(増税前の)駆け込み(需要)が大きければ、その後の反動は大きくなる。山高ければ谷深しだ」(宮尾龍蔵審議委員)などと消費腰折れへの不安が台頭。政府が大規模な経済対策を打ち出し、「下押しリスクは低下した」(岩田氏)と強気の見方もあった。
当時審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「(目標達成は)短期決戦でうまくいくという機運が広がっていた」と振り返る。目標実現に懐疑的だった同氏は、この時期の物価上昇について「直接的な政策効果ではない。円安と原油高で上がっていた」と指摘する。
増税後の国内景気はマイナス成長に陥り、物価は再び低迷。日銀は14年10月に追加緩和に追い込まれ、その後もマイナス金利政策や長短金利操作を繰り出し、長期戦を強いられることになった。
【時事通信社】 〔写真説明〕金融政策決定会合後、記者会見する日銀の黒田東彦総裁(肩書は当時)=2013年12月20日、日銀本店
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