- 2023/05/23 掲載
ユーロ圏総合PMI、5月速報53.3に低下 サービスも減速
[ロンドン 23日 ロイター] - S&Pグローバルが23日発表した5月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.3で、前月の54.1から低下した。節目の50はなお上回っているが、予想の53.5に届かなかった。サービスセクターの成長が鈍化、製造業は縮小が続いている。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ユーロ圏の第2・四半期の域内総生産(GDP)は、サービス部門の堅調さを背景に成長が予想される。しかし、製造業は経済全体の勢いを削ぐ強力な足かせとなっている」と指摘した。
オックスフォード・エコノミクスのリカルド・アマロ氏は「5月のPMIは成長鈍化を示唆したものの、第2・四半期としては今のところGDPの堅調な拡大をうかがわせている。しかし他の調査や経済指標とは食い違う」と述べた。
物価が依然として高騰し、負債を抱えた家計が借り入れコストの増加に見舞われる中、全体的な需要の伸びは急激に減退。新規事業指数は前月の52.5から50.4に低下した。
サービス部門PMIは55.9となり、1年ぶりの高水準だった前月の56.2から低下。予想の55.6は上回った。新規事業の伸びが鈍化した。ただ雇用は堅調で雇用指数は55.0で4月の11カ月ぶり高水準の55.6を下回ったものの、力強い伸びを示した。
一方、製造業PMIは前月の45.8から44.6に低下し、新型コロナウイルス禍の影響が深刻だった2020年5月以来の低水準となった。予想は46.0。生産指数は48.5から46.3に低下し6カ月ぶり低水準となった。
ただ製造業の操業を圧迫していた供給網の目詰まりが解消しエネルギー価格が低下したことから、投入コストは約7年ぶりの大幅な低下となった。これを受け、産出価格指数も51.6から49.0に低下し、2020年9月以来の値下がりを示した。
しかしサービス業の価格は上昇が加速。キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ケニンガム氏は「PMIの投入価格、産出価格はいずれも歴史的水準から見ると高く、物価圧力は依然強い。これは欧州中央銀行(ECB)がさらに利上げする根拠を裏付けるものだ」と述べた。
この日発表されたドイツの総合PMI速報値は、サービス業の回復が製造業の落ち込みを補い54.3と1年余りぶりの高水準となり、節目の50を4カ月連続で上回った。フランスの総合PMIは51.4で4カ月ぶりの低水準だった。
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