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- 2019/12/19 掲載
2020年のCIOの「アジェンダ」、1000名調査でわかったデジタル化適合の3つの分かれ目
ガートナー 藤原恒夫氏が解説
この4年で8割の日本企業が「危機」に直面
「不確実性の時代」との言葉が登場して30年以上が経過した。この間、技術革新、中でもIT技術の進化により社会の変化が加速。数年前からは、IoTやAIなどによるデジタルトランスフォーメーションが本格化するなど、企業の先行きの不透明感は増すばかりだ。こうした中、多くの企業が激しすぎる変化に苦しんでいる。ガートナーがグローバルで1000名のCIOを対象に実施した調査によると、日本でも、過去4年に8割の企業が「組織のディスラプション」や「ビジネス環境における外部混乱」などに起因する“悪い意味”での転機に直面している。
もっとも、転機に直面しない企業は存在しない。したがって、企業が考えるべきは、変化に直面した後だ。
ガートナー バイス プレジデントでアナリストの藤原恒夫氏は、「変化後を見ると、業績を回復させる企業もあれば、そのまま沈む企業もあります。企業として目指すべきは、当然、前者の『適合した企業』であり、実はそうした企業には、いくつかの共通する特徴を備えていることをアンケートを通じて把握できました。今後の意思決定において、そこから学べることは決して少なくないはずです」と語る。
規律と柔軟さを兼ね備えた判断で社内を一丸に
適合企業の特徴として藤原氏がまず挙げたのが、組織としての目的と方向性を共有するための「調整力」を備えていることだ。その力は、「効果的なリーダーシップ」や「説得力のあるビジョン」「明確な戦略」などで高めることが可能だが、中でも藤原氏が重要性を訴えたのが「規律の取れた投資」だ。根拠は、「イノベーションへの資金提供を中央集権的に行う」企業が、適合企業の75%を占めたことである。
ただし、いわゆる役所的な投資判断が優れているわけではないという。アンケートでは特にテクノロジーに関連した資金提供モデルについて、「変化に即応できるだけの柔軟性」の有無も聞いており、この質問に対しては適合企業の53%が「ある」と回答。なお、日本企業での同様の回答は29%だ。
「アンケート結果から分かることは、中央集権型でありつつ、変化への即応力も兼ね備えた判断が社内調整で大切だということです。実際に、適合企業は地域ごとの法規制や、技術/ビジネストレンドなどを踏まえて、継続的に判断基準を変化させています」(藤原氏)
調整力で危機を乗り越えた企業として藤原氏が紹介したのが、世界17カ国に拠点を構える米石油大手のコノコフィリップスだ。同社では2015年の原油価格の大暴落直後、売上高が7割、利益も5割も減少するという危機に見舞われた。
ただし、そこで幸いだったのは、暴落の予兆を捉えることができ、機敏な投資判断で事前策を講じられたことだ。具体的には、暴落に備えた分析組織を立ち上げて、そこに資金を集中投下。キャッシュフロー不足を想定した戦略を練るとともに、市況改善後のシナリオも策定することで、結果的に業界での評価を暴落前より高められたのだという。
【次ページ】B2BとB2Cで異なる高度化のアプローチ
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