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- 2019/08/13 掲載
インテントベースネットワークとは? 2025年以降も戦える「ITインフラ10のトレンド」
ガートナー カプッチオ氏が指南
最新技術とトレンドの把握がDX成功の鍵
デジタル技術による創造的破壊が、あらゆる産業で広がりつつある。この変化の大波を乗り越え、持続的な成長を続けるために企業は、自らがデジタルの変革者となり、率先して破壊に取り組むことが急務となっている。その実践で鍵を握るのが、最新技術や技術トレンドに対する十分な理解とI/O部門の育成だ。カプッチオ氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)で成功を収めるには、新たなアイデアを他社に先駆けて実現するための素早さが何より大切だ。そのためには、絶えず技術にアンテナを張り、機を見て即座に動き出せるようにしておくことだ」と強調。
デジタル時代のITインフラに 影響する「トレンドトップ10」 を紹介した。
サーバレスとは、サーバやデータベース、API(Application Programming Interface)など、ITインフラにまつわる一切をひとまとめにしたサービスだ。コスト削減や運用の効率化、開発生産性の策として利用が本格化しつつある。
ネットワークをめぐる“攻め”と“守り”のジレンマ
ただし、サーバレスコンピューティングの難点は、無秩序な拡大や監視ツールの導入によって、コストが肥大化しやすいことだ。これらを回避するには、成功事例からの利用法の学習や、小規模な開発による開発スキル向上が不可欠だとカプッチオ氏は指摘する。一方AIは、膨大な計算処理の発生によるエネルギー消費と発熱の解消が課題となっている。 「今後、AIの利用が加速すれば、エネルギー消費と発熱の問題が顕在化し、データセンターの運用に少なからず影響を及ぼす。そのときへの備えを今から検討し始めても遅くはない」(カプッチオ氏)
ガートナーではAIに由来するビジネスの価値が、2022年までにグローバルで3兆9000億ドル規模に成長すると予測している。
技術トレンドについて同氏は、「(技術革新は)デジタル化のアキレス腱になりかねない。その具体例が、ネットワークに対するアジリティ要求の急速な高まりだ」と指摘する。
DXを加速させるためには、多様なクラウドの活用が不可欠であり、ネットワークに対するアジリティ要求は高くなる。一方で、アジリティが高まるほどネットワークが複雑化し、障害が発生する可能性も高くなる。
「ITは“攻め”と“守り”での活用のジレンマを抱えている。攻めでは変化が、守りでは安定が何より大切で、両方を同時に満たすことはできない。クラウド利用が加速する中、ネットワークもこの問題に直面することになったのだ」(カプッチオ氏)
「アジリティ要求」に応えるインテントベースネットワークとは
だが、この問題も新たに登場したネットワーク技術により解消される見通しだという。それが、SDN(Software Defined Network)の進化形である「インテントベースネットワーク(Intent-based Network)」だ。カプッチオ氏は、「現在のSDNでは、各種の管理ルールを人手で策定する必要がある。その点、インテントベースネットワークは、接続先を指示するだけで接続や監視、構成の最適化/修復をソフトウェアとネットワーク機器が連携して実施するなど、あらゆる作業が自動化される」と説明する。
インテントベースネットワークのプレイヤーは
インテントベースネットワークは現時点では実現していない。現時点では一部機能を実装したネットワーク機器を提供する企業が数社ある。
・シスコシステムズ
・アプストラ(apstra)
・インテンシオネット(Intentionet)
・ファーウェイ(HUAWEI)
・フォワードネットワーク(FORWARD NETWORKS)
・ベリフロー(VERIFLOW)
ガートナーでは2020年までに1000社にまでインテントベースネットワークの採用が広がると予測している。
【次ページ】インテントベースネットワークはどのように提供されるのか
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