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  • 2018/10/02 掲載

米国で進む「エネルギー・クラウド4.0」とは何か? 押さえるべき4つのポイント

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先の北海道胆振東部地震による大規模停電は、特定の発電所に電力を依存することの脆弱性を浮き彫りにした。日本でも北海道と本州を繋ぐ連系設備強化の必要性が叫ばれているが、米国では「エネルギー・クラウド4.0」と名づけられ蓄電および州間の電力連系が積極的に進められている。ピーク時電力不足を補うとともに、災害時への対応や再生利用可能エネルギーのさらなる普及という究極の目的のキードライバーとなる「エネルギー・クラウド」とはどのようなシステムなのか。
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先端テクノロジーにより「エネルギーをクラウド化」する時代は到来するか
(© metamorworks – Fotolia)






カリフォルニアで進む再生利用可能エネルギーの導入

 米カリフォルニア州のブラウン知事が今年9月、「2045年までに化石燃料による発電を廃止する」という目標を打ち出した。同州では欧州の複数の国にならい、2040年までに化石燃料を使用する自動車を州内で販売禁止にする法案も検討中で、米国では最もEVの普及、そして再生利用可能エネルギー導入に積極的な州となっている。

 現在、カリフォルニア州では2030年までに電力会社に対し供給電力の60%を風力、太陽光等を含む再生可能エネルギーにするという方針が進められている。今回の目標はこれをさらに強化したものだが、同様の政策で100%の電力を再生利用可能エネルギーにすることを義務付けるハワイ州とは異なり、現段階ではあくまで目標数値だ。しかし、ハワイとカリフォルニアの経済規模の違いから、カリフォルニアの決断は米国全体に大きなインパクトを与えることになる。

石炭に依存する州VSしない州

 EIA(米国エネルギー情報局)によると、2017年現在、米国の電力源はまだまだ化石燃料に依存しているところが多い。最も石炭への依存度が高いのは石炭が一大産業でもあった中西部で、この地域では再生利用可能エネルギーの割合はきわめて低い。

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米国中西部における再生利用可能エネルギーの割合は他地域に比べて低い
(出典:EIA)

 また、米国全体では天然ガスと石炭がそれぞれ32%、原子力が20%、再生利用可能エネルギーが16%となっている。

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EIAが示した米国内の電力源のシェア推移
(出典:EIA)


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米国のエネルギー源(2016年)
 太陽熱発電が進んでいるカリフォルニア州では、日中には電力供給過多に陥ることも多く、隣接するネバダ州やアリゾナ州に無償で電力を供給することもある。そのために州間のグリッド(発電・変電・送電・配電を統合したシステム)建設の必要性も協議されたが、州議会では「石炭燃料に頼る州に電力を供給するのは反対」という意見もあり法案としては実現していない。

 一方で州内の電力会社は大規模な蓄電装置の建設に着手しており、余剰気味の昼間の電力を蓄えて夜間の需要に備えることや、他州に災害などが起きたときに蓄電から電力を回すといったシステムも計画されつつある。

 知事は「地域グリッドの存在なしに再生利用可能エネルギーへの依存を高めることは、電力価格の高騰につながる」と反対勢力をけん制している。つまりオンデマンド方式により他州に売電を行うことで電力コストの軽減にもつながるという考え方だ。

 州内だけの消費を考えれば大規模な蓄電システムなどの建設は非常にコストのかかるものとなるが、他州との連携、協力により蓄電、送電グリッドを確立することで、西海岸全体の電力の安定供給とコスト低減につながる。

【次ページ】エネルギー・クラウドの経済効果は2030年までに1兆ドルとの試算も
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