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- 2016/08/08 掲載
「単なるアイデア」で終わらないための「ビジネスモデルキャンバス」活用術
連載:イノベーションのすゝめ(2)
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ストーリーを考える

先輩!、イノベーションって、①専門性、②クリエイティブな思考、③モチベーションが大切だったんだよね。

あと、付け加えるとすれば、観察力と洞察力かな。
街を歩いていたり、電車に乗っているとき、何を見ている?

そうですね~。看板、信号、イケメン♥、スマホ……。

そこで、何か考えている?

……。

せっかくだから、考える練習をして「考える癖」をつけるといいよ。
たとえば、何故、信号は、緑、黄、赤なの?

だって、交通規則ですよね

その規則って、誰が決めたの? その規則が一番優れている? というように、何故だろう、どうしてだろうと考えていくと、「あ!そうなんだ!」って、その製品の本質が見えてきたり、サービスを設計した人の考え方に気が付くことがある。こういう練習をすると、物の本質を掴む練習にもあるし、想像力を膨らませ、柔軟な考え方ができるようになる。いざアイデアを出そうとする時、脳が働かないことがないように、脳を柔らかくしておくんだ。

継続が大切なんですね。

これは、一朝一夕にできることじゃない。イチロー選手が、毎日バットの素振りを欠かさないように、常に考える練習をして、「考える準備」をしておくんだ。

スポーツジムに通う感じですね?

そうそう、つらい訓練じゃなくて楽しくね。そうやって「モチベーション」をキープするんだ。今日からだって始められるでしょ。

他に練習することあるのですか?

そうだね。多くのビジネスモデルに触れること、かな。
これは、ビジネスモデルになれるという意味と、ビジネスモデルを考える際の「シナリオ」とか「ストーリー」を考えられるように慣れておくんだ。

ストーリーですか?

いわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるけど、このストーリーを描くことが、実は、ビジネスモデルを考えることなんだ。最近は、ビジネスモデルとか、イノベーションとか、いろいろな書籍が並んでいるね。つまり、材料はいっぱいあるってことだね。

本を読むのは、苦手です……(><);

本じゃなくても練習できるよ。シナリオを描く練習は、「ニュース記事」などが使えるね。たとえば、新聞の一面に、『日本企業の海外進出が減速している』という記事があったとする。では、この事実を受けて、次に何が起こり、どうなるか? 想像力を働かせて考えてみる。正解なんてどこにもないから、勝手に考えればいいんだ。そして最終的には、どんな製品・サービスが売れるようになるのか? を考える。こういう練習をしていると、経済にも興味がわいてくるし、ユーザーの価値観で物を見ることができるようになる。
初老の男性にルージュを買ってもらうには?

じゃあ、どこから始めればいいんですか?

まず、目の前の物を見渡してみよう。身近なところにイノベーションがあるはずだから、身の回りを整理してみよう。「お客様の視点」というのも重要だね。一人よがりにならないように、みんなで、わいわいやろう!

どうやってやるんですか?

じゃあ、ちょっと、やって見ようか。

はい、お願いします。

たとえば、その製品は、20代の女性向けの製品だったとしよう。化粧品(ルージュ)とかを想像するとわかりやすいかな? それを、初老の男性客に買ってもらうためには? って考える。単純に、ルージュが売れるとは思えないね。

気持わる~いですね!

まぁ、そんなこと言わずに。
ルージュの基本機能って何だろう、何故、赤い色なんだろう。何故、あのような形をしているのだろう。などと考える。ルージュは、唇を若々しく見せるための物。この「若々しく」というニーズは、初老の男性にも使えるんじゃないかな?

あ! そうですよ。誰だって、若々しく見せたいですし、白髪染めってそういった製品ですよね。

そうなんだ、では、ルージュなどで培った、わが社の強みは何だろう? たとえば、色素の発色技術、携行しやすいケース、肌にやさしい、長持ちする──これらの技術を使った、男性用化粧品。「沁み隠し」でもいい。

シックなケースに入れて、出先でも抵抗なく使えるようにするとか。

だんだん、製品イメージができてきた?

名前を入れて、おじいちゃんへのプレゼントにも使えたり……。

というように、ルージュなどの化粧品で培った要素技術を使って、新製品、新市場ができそうな気がするね。

ドラッグストアだけでなく、皮膚科とか、老人ホーム、ケアハウスでも扱ってもらえますかね?

いいね! 既存のチャネルでなく、リーチしやすい「新しい」チャネルによく気が付いたね。

わーい、初めて褒めてもらいましたぁ。イノベーションって面白いですね!

ちょっと、整理してみようね。

はい。

まず、目の前の身近な物を見直した。その際、新しい顧客として「初老の男性」を想定したね。
そして、自社の得意分野を見つける。そしてそのアイデアを亜依ちゃんに話して意見を聞いたね。

はい。

そしたら、「若々しく」とう価値の他に、「おじいちゃんへのプレゼント」という新しい顧客価値が出てきたよね。チャネルの拡充もできたね。これって、クリエイティブな思考をしていたんじゃないかな。

そうですね、私の意見も役に立ったんですね!

そうだよ、みんなで考えると、こんな風に広がっていくんだ。

なんだか、わくわくしてきました。

その、「わくわく感」が大切なんだよ。楽しくなくっちゃ、やる気も出ないし。

もっとやりたいです! 次にどうするんですか?

おいおい、そんなに急がない、急がない。

もう、待ってられないです。
【次ページ】 「ビジネスモデルキャンバス」「VRIO分析」を活用する
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