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  • 2016/07/07 掲載

従業員17名の製造企業が取り組む「3Dプリンタ革命」

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日本のプレス加工技術、金属加工技術は世界でも評価は高い。アップルが初代iPodを世に送りだすとき、最終的に選んだのは新潟の金属加工メーカーだった。製造業はいまだに職人技の世界だが、ITの波は確実に押し寄せている。人工知能やIoTを利用したインダストリー4.0の動向はいうに及ばず、以前から、3D CADやリアルタイムシミュレータを利用したモデリング設計手法を導入する製造業は増えている。そして、3Dプリンタは、プロトタイプ開発の現場だけでなく、中小製造業の変革を後押しする。
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モールド型を取り付けたプレス機。120tのプレス機でも使える

ABS樹脂で金属を加工

 中辻金型工業は、従業員17名ほどの中小製造業だ。拠点は東大阪市で1974年の創業時から金型製造メーカーとして営業を続けている。中小ながら中堅製造業と呼んでよい企業だ。同社が提案する新しい「型」とは、ABS樹脂製の「モールド型」だ。

 同社の「デジタルモールド・プレス」は、3Dプリンタで出力したABS樹脂のモールドを金型として使うプレス加工技術だ。3DプリンタはStratasys(ストラタシス)の製品を使っているという。

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使っているのはStratasysの3Dプリンタ

ハイテン鋼のプレスもできる

 そもそも3Dプリンタの精度と樹脂モールドが金属プレス機の型になるのか、という疑問も湧くが、同社によれば、精度はプリンタの品質によるもので、技術的な問題はないという。設計制度に見合う3Dプリンタを利用すればよいとのことだ。

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1/2タチコマプロジェクトのタチコマ。多脚の部品など3Dプリンタが利用されている

 耐久性も大きな問題はなく、金属板1000枚程度は十分な精度、仕上がりでプレスできるという。何万、何十万というロットには対応しないが、試作や小ロット生産なら十分対応可能だ。

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中辻金型工業のモールド型とプレスされたプレート

 実際、どんな金属が抜けるのかというと、アルミ鋼材はもちろんのこと、440鋼、430鋼といったステンレスの硬い鋼材をプレスしても問題ない。他にも980Mpaハイテン鋼(高張力鋼材)や一般的なプレス加工に利用されるSPCC(冷間圧延鋼板)などもいけるという。ハイテン鋼は自動車のフレームなどによく利用されている鋼材だ。ABS樹脂の型ながら、応用範囲は広い。

【次ページ】ロゴマークやエンボス加工もきれいにできる
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