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- 2015/02/05 掲載
2030年の未来はどうなる?ヒト・モノ・カネは仮想化、人間はどんどん因数分解される
川口盛之助氏に聞く
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ヒト、モノ、カネが仮想化されてラスト10メートルまでくる
人文科学、社会科学、自然科学のどの視点から見るかによって変わると思いますが、社会科学的には、「つながる世界」と表現できると思います。ラスト10メートルまで、ヒト、モノ、カネを利用できる土管がやってくるイメージです。たとえば、都内であれば、自分の周囲500メートル以内にクルマをシェアできるサービスが複数あります。移動手段をオンデマンドで調達できるのです。土管が太くなって、自動車という蛇口が、そこまできているのです。
コンビニも同じです。離島や雪深い山村に住んでいれば、食料を何週間分も購入して冷蔵庫に保存しておかなければなりませんが、コンビニが近くにあれば、とりあえずビール1本入っていれば事足ります。どうしても2本目が飲みたければ、買いに行けばいいのです。コンビニには自分のほしい銘柄もあるし、賞味期限管理もやってくれています。これは、その地域の住民全員で、ビールを仮想化して持っている状態だといえます。
これが人になればフリーランスになりますし、工場だったらファブになります。お金でさえもクラウドファンディングやレンディングになってくると、商用銀行というバッファも不要になってきます。つまり、ヒト、モノ、カネがすべてクラウドソーシングの対象のモジュールになって、オンデマンドに調達できる単位となる。その間にいた中間業者はいらなくなるのです。この流れは止めようがないと思います。
──人の働き方も変わっていくということですか。
日本だと「非正規雇用」といいますが、米国だと「フリーエージェント」といって、もっと前向きにとらえていますよね。米国では、全就業人口の4人に1人はすでにフリーエージェントです。なぜなら、仮想化したほうが自分の専門性の稼働率が高まるからです。
通常、専門性を上げると稼働率は下がります。会社にとって、特殊な機能は年に数回しか必要ないでしょう。したがって、専門家は真っ先にレイオフされます。しかし、年に数回は必ず必要ですから、専門家を同業他社でシェアすることになります。そうすれば、その専門家も自分の専門性をもっと磨けます。
──ビッグデータの活用によって、専門家へのニーズも危うくなるのではないでしょうか。
確かに、機械に追いつかれるかもしれないですね。ただ、その前にアジアの安い労働力に追いつかれるかもしれません。たとえば、東大法学部を出て重役候補で入ってきても、シンガポール大学を出たベトナム人に勝てないかもしれません。社会科学の分野では、シンガポール大学の国際評価ランキングは東大よりはるかに高いですからね。
オープンな世界では星一徹はちゃぶ台をひっくり返せない
「情報の非対称性」が権威の根源なのですが、ビッグデータの出現でそれが崩れると、権威は失墜します。たとえば部長同士で囲っていた秘密の情報もなくなり、部長の権威もなくなるわけです。
そして、このプロジェクトのこのステータスではAさんがリーダーだけれど、次のフェーズではBさんの方が専門性が高いのでBさんがリーダーになる、といったことが起きるわけです。
こういうと「それは理屈にすぎない」という人がいますが、それはそうではない古いシステムで偉くなった人がいるから、本能的に自己防衛しているだけでしょう。
【次ページ】これから伸びる分野はバイオと脳
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