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- 2012/10/25 掲載
OpenFlowはユーザー企業に必要か? ユーザーとベンダーが徹底討論
ITproEXPO 2012
世界中のどこよりも日本が盛り上がっていると言われているOpenFlowのブームは本物なのでしょうか。議論のダイジェストを紹介します。
なぜSDN/OpenFlowに注目しているのか?
谷口氏(カブドットコム証券)■最近は部門の壁を越えてR&Dに近いところで仕事をしています。OpenFlowに夢がある派です。ネットの海をパケットが自律的に動いている、それを実現するためにはSDN(Software-Defined Network)が絶対必要だと思います。大久保氏(さくらインターネット)■研究所所属ということで、数年後にビジネスのネタになりそうな技術の評価、検証などをしていました。ところがある日突然、社長に呼ばれまして、おまえクラウドの開発をやれということで、さくらのクラウドのネットワーク担当をしています。
なぜSDNに注目しているかというと、従来使っていたVLANが限界にきていて、数万規模のノードではSDNが必須になってきていると考えるためです。主にハイパーバイザ型のオーバレイ方式ネットワークに注目しています。
馬場氏(NTTデータ)■95年にNTTデータに入社し、現在はエンタープライズ部門でお客様のネットワークの設計、構築、運用などを担当しています。
なぜOpenFlowに注目したかといえば、ベンダに依存しない標準のネットワーク制御プロトコルだからです。ベンダごとに違う(ネットワーク管理用の)コマンドを覚えたり、大量のVLANを管理するということに疑問を感じていたところに、2009年12月にOpenFlow 1.0が標準化されて、これはいけるのではないか、と思いました。
そこからコントローラの開発を決意し、リリースまで3年かかりました(OpenFlow対応コントローラの「Hinemos仮想ネットワーク管理オプション」)。
最近思うのは、コントローラの上位APIは標準化されていないので、せっかくOpenFlowは標準化されているのに、(APIが標準化されないおかげで)結局はベンダロックインになるのか? とか、ファイアウォールやロードバランサの制御もしたいのですが、まだOpenFlowはそこまで行っていない。そういったことです。
小宮氏(ブロケード)■私はブロケードで5年後の技術はどうなるのか、あるいは技術アライアンスなどの面で日本のリードをしています。新規ビジネスの創出や新製品の企画といったことです。
私がよく考えるのは、1つのトラフィックが生み出す利益を増やすこと、そしてそのトランザクションを増やしていく、こういうところにどうやってSDNが貢献するかということ。あるいはそのためのコスト削減にどう貢献するかということです。
単位時間に生み出すお金、これを増やすことに現在のOpenFlow/SDNがたどりつけるかというと、まだ現在は難しいかなと思っています。
いま注目しているのはNorthbound API(一般にOpenFlowやコントローラの上位に置かれるAPIのこと)。そしてITから見たビジネスへのインターフェイスです。こっち側の世界をみなさんと作っていきたいと思っています。
【次ページ】ユーザー企業にOpenFlowは必要か?
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