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- 2012/08/06 掲載
森永乳業とJX日鉱日石エネルギー 、2つの事例から学ぶ企業における災害復旧対策の在り方
情シスが有事に必要とする連絡手段は?
津波で大被害を受けた事業所を、約1ヵ月で再開にこぎつけた森永乳業
森永乳業の情報システム部門(データセンター)は神奈川県座間市にあり、基幹系ネットワークは2重化され、IP-VPN(10Mbps)と広域LAN(100Mbps)によって全国の拠点や関連会社と結ばれている。同社 情報システム部 情報企画課の原田純子氏は、ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット2012において、「普段は、広域LANのほうを音声系として内線通話に役立てているが、本来の役割はバックアップ回線であり、バックアップセンターとも接続されている。震災時には本線のIP-VPN回線が断線してしまったが、もう1本の広域LANが正常だったため、発災2日後には音声系も復旧し、内線がつながるようになった」と当時の状況を説明した。
震災時、東北の拠点は大きな被害を受けた。事務所は1階建屋上部まで津波で水没し、見る影もない状態であった。だが全社一丸となって復旧にあたり、約1ヵ月後には業務を再開できる状態まで戻したそうだ。PCはすべて流されてしまったが、不幸中の幸いで、電源系統は事務所の2階にあったため、比較的早く復旧も進んだ。また製造拠点も6月から稼働した。
このような未曽有の災害を経験し、同社では事業計画を見直すことになった。これも現在継続中だが、バックアップセンターの強化も合わせて検討しているという。
「いままで情報システム部門とバックアップセンターの両方が直接被災したことはなかった。しかし、想定していた以上のことが現実に起きてしまったため、同時被災も考慮に入れて条件を見直した。」(原田氏)
DR(災害復旧)サイトとして用意していたバックアップセンターは東日本側にあった。それを昨年12月に西日本側に移動し、災害時の訓練も行った。これは他社と比べても非常に早い動きと言える。また電源の供給も再検討した。情報システム部門の電源供給を強化すべく、予備発電機と自家発電機の2重化を図り、発電用重油の確保も見直したという。
もう1つはコミュニケーションツールの強化だ。「日常的なコミュニケーション」「社内からの利用」「緊急時の利用」というように3つのシーンで分けて考えた。
日常的なコミュニケーション手段としては、社内ポータルを採用。これがすべての業務の入口になり、社員が必要とされる情報を迅速に提供することで、業務効率や生産性の向上にも一役買っている。また通常の社内利用では、データ通信や内線電話を社内LAN(IP-VPN)を通じてつなげているが、緊急時の利用では会社支給のモバイルPCや携帯電話を使って連絡を取れるようにした。
メールシステムも被害を想定している。たとえフェイルオーバーしても、バックアップセンターからいつでも復旧できるように担保されている。また社員のプレゼンスが把握できるように「座席ナビ」という日立製のパッケージソフトウェアを導入。さらにWeb会議システムも採用した。
「緊急時や災害時に自宅・社外からコンタクトできる仕組みを構築することが大きな目的。従来のテレビ会議システムを補完する役割もあり、取引先や海外拠点との会議用としても利用されている。」(原田氏)
このように同社では、現在も震災の教訓を活かした対策を実施しているところだ。
【次ページ】約2カ月で通信系を仮復旧したJX日鉱日石エネルギー
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