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- 2012/04/09 掲載
「営業力強化」を阻害する、営業が抱える課題や問題とは:企業成長をドライブする営業戦略(1)
「翻訳」と「キャパシティマネジメント」が大きな課題
――まず営業力を妨げる現状の課題や問題について教えてください。一方、マーケティング戦略は比較的浸透していると言えます。例えばセグメンテーションを行ってからターゲットとなる層の優先づけをしたり、特定商品を売る場合には、その特徴をPRして訴求することもあるでしょう。
では営業にフォーカスした戦略とは何か? と考えると、営業はマスではなくて個、すなわち「顧客」と対峙しているわけです。営業に求められる役割は、マーケティング上の戦略を自分の担当顧客と照らしあわせて翻訳し、個別活動に反映することに付加価値があるということです。
実は、この翻訳作業が一番難しいところなのです。これらの作業を、今は営業担当者にすべて任せています。つまり個人スキルに依存した属人的なものになっていますから、「自分が担当する重要顧客に対し、施策のとおりPRしていますよ」と言われると、それに対して会社側は何も抗弁できません。
もちろん優秀な営業担当者ならば、戦略をうまく咀嚼して、個人の顧客にアプローチをかけて売上を伸ばしていけます。ただし、この「翻訳」を行うにはスキルが必要になりますから、誰でも簡単にできるわけではありません。結局、新人やスキルのない営業担当者は、やりやすいことしか手をつけられませんから、売れないということになるのです。
このように営業にフォーカスした施策を明確にせず、属人的なスキルだけに依存すると、いろいろな問題が起きます。また属人化すると、客観性・定量性・合理性といったロジックの世界が不足がちになり、「行き当たりばったりの営業活動」になってしまうわけです。その結果として他との協同がうまくできない組織になってしまいます。
糸田 哲氏(以下、糸田氏)■営業は企業を代表する、顧客に対するインタフェースになるものです。いわば企業の代理人であり、顔でもあるわけです。
例えば売り方の誘導にしても、カスタマイズした個別のものを売るのではなく、もっと標準化されたものを提案することもできるわけです。標準化されていれば、作り手側にも、売り手側にもメリットがあり、さらにコストが下げらます。つまり営業によって、いろいろなことをコントロールできるはずなのですが、そこまで頭が回らないのが実情です。
もう1つ重要な点は、営業は経営資源であり、有限なものであるということです。「キャパシティマネジメント」、すなわち資源をどうやって再配分し、最適化するかということが、実は重要なことなのです。そのためにターゲティングによって、どの層を狙うかという話が出てくるわけですね。営業のトップ、組織の部門としての問題点は、キャパシティマネジメントがうまくできていないということです。
■次ページ>> モノが売れない時代に、いかに個人戦から組織戦に持っていくか?
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