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- 2011/07/12 掲載
「受け取る力」──3.11後のバルセロナで出会った、新しいグローバルリーダーシップ
名古屋商科大学大学院 客員教授 宮森 千嘉子氏
遠くバルセロナから届くチャリティー
「なぜ、私たちではなく、日本のみなさんが……」
「あの映像を見て、自然への怖れを感じない者などいないでしょう。天災は、世界のどこにいても、誰に対しても、平等に起き得ます。なぜ、私ではなく、日本の人々が……皆さんは代わってくださったのだと思いました」
このコンサートを企画し、成功させたブランドコンサルタントのフアン・マス氏は、3月11日、テレビで目にした日本から受けた衝撃を、こう語る。
「何よりも心を打たれたのは、あれほどの悲嘆と苦しみの中で、それを黙々と受け入れて耐え、そしてお互いを支えあう人々の姿でした。もしあれがスペインだったら、号泣、糾弾、破壊、強奪が起こったに違いありません。私は今安全で、守られた、恵まれた場所にいます。その私がこの人たちのために今何かしなければ、自分の生きている価値はない……それが私の最初の思いでした」
フアン氏には日本人の友人が、1人いた。バルセロナを拠点に活躍するピアニスト、鈴木 羊子氏。すぐに彼女に電話し、フアン氏が運営関係を、鈴木氏が音楽プログラムを担当することで合意、2人は企画実現に向けて走り出した。
まず会場を確保。次にバルセロナの文化機関や財団にコンタクトし、協力を依頼、サッカーのFCバルセロナ財団をはじめ、20もの団体が即座に協賛に同意した。
「チャリティーの協力を得るときに重要なのは、フランクで、カジュアル、そして公正明大なコミュニケーション。誰もが日本のために何かしたいと思っていました。でもお金を出すのは難しいし、社内承認にも時間がかかる。だから今回は関係者への告知やチケットの購入に絞って協賛依頼を行いました。チャリティコンサートの趣旨を説明しただけで、多くの協力が得られました」
一方で、日本関係の団体へのアプローチも開始したが、こちらは思ったより時間がかかった。
「最初は反応も良くありませんでした。日本のためのコンサートなのに、なぜ、理解してもらえないのか、とまどいました。名もないスペイン人が、日本のために何かするのは難しいのか、とさえ考えた」
フアン氏の「相手を受け止め、理解する力」とは?
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