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キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)とスロバキアのセキュリティベンダーのESETは15日、共同で企業向けのセキュリティ製品戦略に関する説明会を実施した。
ESETは、1992年にスロバキアで設立されたウイルス対策ソフトウェアメーカー。1993年には未知の脅威を判定できる「ヒューリスティック技術」を他社に先駆けて実装するなど、「ウイルス検知力、それを支えるパフォーマンス、さらに安定性に強みを持つ」(ESET CTO パベル・ルカ氏)という。
同社の現在の主力製品はウイルス対策・スパイウェア対策ソフトの「ESET NOD32 Antivirus」と総合セキュリティソフトの「ESET Smart Security」で、利用者は全世界で1億ユーザーにおよぶ。日本では2003年からキヤノンITSが総販売代理店として展開しており、現在法人向け市場シェアで約10%を獲得している(ミック経済研究所調べ)。
パベル氏は今回、同社製品ロードマップとして、5つの強化ポイントを発表した。
まず1つめがエンタープライズ向け機能の強化。1~10万人規模で導入された場合に「(現行製品では)管理機能に改善の余地がある」として、Remote Administrator Generation 2(現行はGeneration1)」を提供する。
次に仮想化環境の対応強化。既にVMwareやCitrixの認証を取得しているが「より複雑な仮想環境に対応していく」という。3つめがData Loss Prevention分野の強化。「現行製品との連携を図りつつ、場合によっては新製品として提供することも視野に入れる」という。
4つめがモバイル強化。まだPCに比べると少ないながらも今後さらに増えるAndroid向けのセキュリティ対策の必要性を強調。現在ベータ版で提供しているAndroid向けアプリを2011年の第3四半期をめどに正式版として提供する。同製品ではアンチウイルス、アンチスパム、盗難・紛失時のリモート消去、不正通話の防止機能などを持つ。同社の特徴であるヒューリスティックエンジンも搭載し、未知の脅威にも対応する。
最後が同社主力製品の最新版の投入。2011年第3四半期をめどに「ESET NOD32 Antivirus」と「ESET Smart Security」のVer5を提供するという(日本での提供時期は未定)。同製品ではスキャンスピードをさらに高速化。データによっては40%の改善も見込めるという。そのほか、クラウドを通じたレピュテーションベースの脅威検出機能、ペアレンタルコントロールやゲームモード、HIPS(ホスト型侵入防止システム)、リムーバブルメディア管理、Webフィルタリングといった機能が追加されるという。
キヤノンITSによれば、ここ3年間の日本市場でESET製品は法人向け市場の出荷額ベースで142.9%の成長率を達成し、2010年はESETのグローバルパートナーでNo.1に選ばれたという。市場が成熟化する中でもキヤノンの販売網をベースにSI力を組み合わせて展開することで、「他社と違う独自のポジショニングを確立できた」(キヤノンITソリューションズ セキュリティソリューション事業部 事業部長 近藤伸也氏)という。
キヤノンITSは2011年1月にESETセキュリティパートナープログラム(ESPP)を開設、SIerを中心とした販売パートナー拡充を発表しており、他社との協業やキッティングモデル販売などのソリューション提供を推進している。今後の販売戦略として、従業員100名規模以上の中~大規模企業の法人への販売に注力する考え。
「現在のITセキュリティでは単独の製品だけではセキュリティを維持することは難しい」(キヤノンITS ESET技術部 部長)として、テクノロジードリブンのESETと連携しながら、今後もトータルなセキュリティソリューションを提案していくという。
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