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さまざまなITシステムが導入されるに伴い、企業のアウトプット環境は複雑化し、肥大化していく。台数の増えたプリントサーバ、FAX専用サーバ、業務別に存在する複数の専用アウトプットサーバ──これらの管理・運用コストはばかにできないが、使う人の慣れと諦めによってカバーしていないだろうか? そこで、さまざまなシステムに共通のアウトプット基盤を提供するアプライアンスサーバ「iPDC Server」を紹介しよう。
肥大化するアウトプット環境に諦めを覚えてはいないか
現在、企業のITシステムの平均的なアウトプット環境について考えてみよう。さすがにオフィスでは、クライアントPCにプリンタをダイレクトにつなぐ時代ではないので、大抵はプリントサーバを設置し、LAN環境でネットワークプリンタを共有するスタイルが一般的だろう。プリンタ本体はレーザープリンタが多く、FAXなどの複合機であれば、本体にサーバ機能も内蔵しているものも珍しくない。
そして、フロアごと、部署ごとにプリンタを設置したり、カラ―、モノクロ、印刷速度、複合機の機能(ソート、ステープラー、両面印刷など)によって、当然プリンタも複数台になる。それでも、プリントサーバ1台で管理できるうちはよいが、組織変更やシステム拡張などを繰り返し、サイロ型システムよろしく、サーバも複数台になったり、専用プリンタ、サーバの設置が避けられなくなったりしていないだろうか。そうなると、サーバソフトウェアの個別の管理や設定が煩雑になり、ユーザーからは出力内容によって、プリンタや環境の切り替えなど余計な手間が必要になってくる。
さらに、基幹業務系のシステムはまったく別系統に構築されていると(業務ごとのチューニング要件やガバナンスの観点からそのような運用やシステム構成は多い)、結果的にプリンタの接続にLANを使っているだけで、ネットワークプリンタといえども統合管理から程遠い状態となってしまう。リソース効率やコスト削減といった視点からも頭を抱えているシステム管理者や経営者は少なくないだろう。
このような問題は、ともすれば定常的になっており、使う側の慣れによって解決としてしまっている場合さえある。こうした問題に最適なソリューションはないのだろうか。
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アウトプット環境の問題点を整理し解決法を探る
アウトプット環境が一元管理できない理由として考えられるのは、プリンタのデバイスが多種多様であり、出力する帳票類も目的や機能もさまざまであることが挙げられる。基幹業務系で古くから使っているラインプリンタや一般的な帳票を出力するレーザープリンタ、場合によってはCD-ROMや宛名ラベルの印刷のニーズもあるだろう。そして、これらのプリンタに送るデータのフォーマットの問題もある。Word、Excel、PowerPointを筆頭に、JPEG、TIFF、PDF、DTPアプリケーションのネイティブデータ(AIファイルなど)、業務によっては高度なCADデータ、クラス図やUML図など各種モデリングツールの作図データもある。これだけでも、一元管理の難しさは容易に想像できる。
問題点が、多様なデバイスとフォーマットにあるとすれば、そのソリューションは、どんなプリンタでも接続可能で、どんな印刷データも扱える理想的なプリントサーバがあればいいことになる。理屈は単純だが、現実はそれほど簡単ではない。導入時は、限られた構成や環境によって、統合環境を維持していたシステムでも、システムの改修、リプレース、業務変更などにより、後付けのシステムや専用プリンタを導入せざるをえない状況などはたやすく発生する。このような状況に対応しようと開発されたのが、アウトプット統合サーバ「iPDC Server」だ。
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共通アウトプット基盤を確立するソリューション
iPDC Serverは、アイエステクノポートが開発したアプライアンス型のアウトプット統合サーバ製品である。iPDC Serverが、前述の問題に対してどのようなソリューションを提供しているかというと、まず、複合機やプリンタごとに乱立しがちなプリントサーバを、アプライアンスサーバとして統合する。
このとき、一般的なジョブをスプールしスケジューリングするようなサーバ機能だけでは、問題の解決にならない。iPDC Serverは、むしろ汎用アウトプットプロセッサーと呼べるもので、ジョブや個別のプリンタの制御よりも、統一的なアウトプット基盤を提供する機能に優れている。さらに、アプライアンス製品でありながら、サーバ本体は汎用的なIBMのPower Systemsを利用する。iPDC Serverの統合管理機能や印刷データの編集機能は、Power Systems上のアプリケーションとして実現され、非常に柔軟性の高い実装が可能だ。実際、システム納入の際には、導入企業ごとのシステム環境や業務要件に応じたカスタマイズやチューニングが現地でセッティングされるようになっている。アプライアンス製品でありながら、汎用機のような拡張性や柔軟性を持つということだ。
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データフォーマットはPDFを採用
ジョブを統合的に管理するためには、扱うデータフォーマットも重要なポイントである。iPDC Serverでは、共通アウトプット基盤のための中間フォーマットとしてPDFを統一基準としている。入力データは、各種スプールデータ、ASCIIデータ、基幹業務系で必要となるEBCDICデータに対応しており、印刷データのシステム構成を問わないようになっている。ほとんどの場合で、既存システムの出力先を単にiPDC Serverに指定するだけでよい。入力データをPDFに変換して、さまざまなプリンタや出力装置にジョブを投げることになるが、PDFということで、出力先は、プリンタ、FAXなどにとどまらず、一般的なクライアントPC、Webサーバ、メールサーバ、ネット経由のファイル転送(サーバ)などに対応している。PDFは、ISO規格の国際的標準フォーマットなので、アウトプット基盤の陳腐化リスクは低く抑えられる。斬新な出力装置が開発されたとしてもPDF非対応ということは考えにくいだろう。
また、独自のオーバレイ機能を利用すれば、PDF変換の際に、任意の付加情報を帳票にくわえたり、複数の帳票や画面データなどを編集して別の帳票を作成することも可能だ。このオーバレイ機能は、単純に印刷ページを切り貼りするイメージだけではなく、サイズやフォントの自動レイアウト機能や、メタ文字列による動的な画像切り替え機能など、高度な編集機能を持っている。
出力先をプリンタではなく、ファイルサーバに指定すれば自動的に帳票データのアーカイブを作ることもできる。このとき、一定のフォルダ管理も行うことができる。メールサーバとの連携機能では、設定した送付先に添付ファイルとして整形したPDFを自動的に送信することこも可能だ。
以上のように、iPDC Serverは、背景技術に汎用的なPower Systemsを利用することで、システムに柔軟性を持たせ、PDFによってオープンな相互運用性を確保している。そのため、既存のサーバ群や複合機のサーバ機能とも干渉せず、あらゆるアウトプットジョブを統合することが可能となっている。
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iPDC Serverの活用メリット
iPDC Serverの機能的な特徴は理解いただけたかと思うが、では、iPDC Serverによって、具体的にはどのようなメリットや導入効果が得られるのだろうか。
一般論としては、統合管理サーバによるサーバコストの削減、管理コストの削減が考えられる。付随して業務の効率化も図れるだろう。その実例として、ある自動車部品メーカーでは、増え続ける帳票類の整理統合、印刷コストの削減、業務効率化を目指してiPDC Serverを導入したところ、印刷枚数で月間13万5,000枚の出力を削減することができ、帳票類の仕分け、配布作業の80%の効率化が実現できたという。配布作業の効率化というのは、プリンタそのものを統合するだけでは実現できず、出力先にファイルサーバやメールサーバを指定できるiPDC Serverならではの効果だろう。これらの導入効果は、年間で1,850万円の経費削減につながったそうだ。
また、ある海外高級時計ブランドでは、カスタマーサービスセンターに導入し、印刷速度が遅く、メンテナンスにもコストのかかるドットインパクトプリンタを廃止することができたという事例もある。iPDC Serverの複写伝票機能を活用することで、ドットインパクトプリンタと複写伝票を廃止したところ、複写伝票の仕分けや処理業務が大幅に軽減され、ミスも減った。ブランド戦略に関する部分では、伝票の商品ごとのロゴブランドやメッセージ、デザインの切り替えを動的編集機能によって対応し、ブランドイメージ向上に役立てることができた。カラ―印刷、モノクロ印刷の切り分けを細かく制御することでのコストダウンも可能だという。
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アプライアンスでありながらカスタマイズを前提とした供給体制
前述したように、iPDC Serverのシステム要件は、IBM Power SystemsのハードウェアとアイエステクノポートのiPDC Serverのソリューションパッケージが必要となる。導入を考えると、原理的にはIBMからハードウェアを購入し、アイエステクノポートからソフトウェアを購入してインストールすればよいことになる。しかし、実際には、導入企業ごとにiPDC Serverのソフトウェアを設定、チューニングする必要がある。これらの作業を含めて、文字通りソリューションパッケージとして、ベンダーや代理店から購入する形になる。
現在、iPDC Serverのライセンスを受けて販売を行っているのは、日本情報通信(NI+C)だ。NI+CがIBMからハードウェアも調達し、iPDC Serverとともに、販売パートナーに提供する。ユーザー企業は、この販売パートナーからシステムを購入して導入してもらうことになる。アイエステクノポートとしては、iPDC Serverの直販は行わず、代理店を通じての販売という戦略をとっている。代理店契約は独占ではないが、現在のところNI+Cのみとの一次代理店契約をしている。
ユーザー企業は、NI+Cの販売パートナー経由でiPDC Server一式を導入できるが、導入支援や保守については代理店からのサービスだけでなく、アイエステクノポートからの直接の技術支援、IBMからも直接保守サービスを受けることが可能である。サポート体制がしっかりしている点は、導入の後押しとなるだろう。
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