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- 2010/08/04 掲載
【CIOインタビュー】情報システム部門の多能化で未来を拓く──国分 板東直人氏(後編)
現場に負荷をかけないシステム刷新を
卸の仕事自体は、昔から「どの販売員がどこに何をいくらで売って、いくらの利益を挙げたか」で変わりませんが、それをリアルタイムで把握できるようになったのが最大の変化です。この結果、販売の現場がより機動的に動けるようになり、一方で上長もリアルタイムに現場の状況を把握できるため、マネジメント効率も向上しました。さらに統合データベースを横の部門同士で共有することで、部門間や担当者間での対話が発生し、そこから新しい商機が生まれています。
──システム化を進める上で、現場の抵抗はなかったのでしょうか。
2006年の基幹システム再構築以後は、仕事の仕方ががらりと変わることになることがわかっていました。ここでいちばん大事にしたのは、システム変更に伴う社員の負担を最小限に抑えることです。営業マン2000名の仕事のフローは変えずにシステムだけを刷新しました。そしてシステムが落ち着いた2007年になってから、全国の拠点を回って「こんな使い方もできる」とアピールし始めたのです。この結果、導入の翌年はさして変化がなかった収益が、2008年になってから急速に伸びました。もちろん営業部門の努力あってのことだとは思いますが、時間をかけて定着させたことが奏功したのだと思います。導入する立場からは「すぐに成果を」と急ぎがちですが、肝心の営業現場にストレスを与えないことが、結果的に導入効果を伸ばすのではないでしょうか。
──情報システム部門のスキルアップという点では教育も重要なテーマになりますが、どのように取り組まれていますか。
2007年に自社のUISS(情報システムユーザースキル標準)を策定して適用を開始しました。教育にはそれ自体の効果に加えて、私たち管理者側にも「何が足りないのか?」が明確に見えてくる効果があります。その点でも、社内の教育体制の整備は大切だと思います。
また実際のビジネスの現場では、ITスキルそのもの以上にマネジメント力、コミュニケーション力、リーダーシップといった能力が不可欠です。とくに流通卸業界の情報システム担当者は、小売業の方々や現場の営業にシステムの説明や提案、調整をするのが仕事の大半です。そうした業務に必要なプロジェクトマネジメントのスキルを、会社全体として鍛えていく必要を感じています。
【次ページ】情報システム部門の多能化で将来を拓く
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