- 2009/05/13 掲載
【インタビュー】不況を乗り切る次世代データセンターの条件とは?(2/2)
IDC Japan ソフトウェア マーケットアナリスト 入谷光浩氏
生き残りを模索する企業に
エンタープライズLinuxがチャンスをもたらす
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入谷氏■国内企業のIT運用コストの中では、社外のSIerに払うサポート費用が大きな割合を占めています。一方でテクノロジーは日々進歩しつつあり、自社で簡単にシステム構築や運用を行える環境が整いつつあります。そこで、システムの構築・運用計画を立てるに際しては、「自社でできること/できないこと」を切り分けることが、コスト適正化を図る上では有効です。たとえば従来は「サーバを立てて、OSをインストールして、アプリケーションを入れて……」という一連の作業をSIerに費用を払って頼んでいたのが、仮想化を使うことで一気に簡素化できるようになります。
――自社でできる部分は、使える技術を活用して行ってしまおうというわけですね。実際のテクノロジーやツールの選択では、どこに着眼したらよいでしょう。
入谷氏■不況=コスト削減への対応という観点から仮想化が脚光を浴びているのと同時に、オープンソースへの注目もふたたび高まってきています。具体的にはLinux OSを中心としたソリューションです。米国におけるNovellとIDCの調査では、「2009年、Linuxサーバの利用増加を決定した、または意欲的に検討中」と回答した企業のIT担当者は、調査対象全体の72%に上っています。
――Linuxを採用してコスト削減を行うというアプローチはこれまでも行われてきましたが、なぜ今改めてLinuxなのでしょうか?
入谷氏■現在は数年前に比べて、Linuxを取り巻く周辺環境が格段に整ってきています。これが、以前のLinuxブームとは大きく状況が異なっている点です。データセンターに話を戻すと、Linuxには「Xen(ゼン)」という仮想化ソフトウェアがありますが、これは可用性、柔軟性、運用コストといったさまざまな点で、他の商用ソフトウェアに匹敵するレベルの性能を備えています。また構築・運用の容易さという面でも、操作性や他のシステムとの連携という面でも、Linuxはエンタープライズに適用できるだけのレベルに達しています。不況下で生き残りのためのコスト戦略を検討している企業には、Linuxはチャンスをもたらす選択肢ではないでしょうか。
仮想化を始めエンタープライズOSとしての実力を備えた
「SUSE Linux Enterprise 11」
――今回のセミナー「データセンター ソリューション セミナー~次世代データセンターは コストの効率化と信頼性のステージへ」では、商用Linuxディストリビューションの代表ともいえる「SUSE Linux Enterprise 11」が紹介される予定です。この製品を、次世代データセンターという視点から見た評価はいかがでしょうか?入谷氏■「SUSE Linux」は、Linuxの歴史から見てもたいへん大きな実績を持つディストリビューションです。データセンターに必要な信頼性や可用性、保守性といったサーバ用OSに必要な条件はもちろん、ミッションクリティカルなビジネス環境に対応できる機能およびサポートを提供しています。中でも最新版である「SUSE Linux Enterprise 11」では次世代データセンターに向け、仮想アプライアンス構築の機能や、Microsoft Windowsとのシームレスな協調などの機能強化が施されていますが、とくに注目したいのは仮想化を実現するハイパーバイザーとして「Xen 3.3」を搭載している点です。さらにXenの仮想環境を管理するツールも豊富にそろっている点は、Xenに早くから取り組んできたノベルならではのアドバンテージといえます。
またノベルは、すべてをLinux化するのでなく、さまざまなハードウェアやOSが混在する環境を包括的に統合することで、既存のIT投資の有効利用とユーザーニーズに最適化されたシステムの実現を提唱しています。その点「SUSE Linux Enterprise 11」は、Xenに加えVMware ESXとMicrosoft Hyper-Vという3つの主要ハイパーバイザー上でネイティブに近いパフォーマンスを発揮できるため、仮想化においても柔軟な環境選択が可能です。
――最後に、5月26日に東京で、29日に大阪で開催されるセミナー「データセンター ソリューション セミナー~次世代データセンターは コストの効率化と信頼性のステージへ」の基調講演では、どのようなお話をうかがえますでしょうか?
入谷氏■100年に1度の不況と言われる今こそ、あえて積極的に新しいITの活用方法を探っておくことが、いざ不況を脱したときのスタートダッシュに差をつけます。講演では次世代データセンターを始め、そのためのトレンドやツールそしてノウハウを、できるだけ具体的にお話ししていきたいと思っています。
――おおいに期待しています。今日は、どうもありがとうございました。
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