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  • 2008/11/06 掲載

内部統制最前線(3):日本マクドナルドの内部統制への取り組み(前編)

戸村智憲の対談~内部統制の現状、そして、ERM への道~

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日本版SOX法が施行され、各企業は対応を進めている。しかし業務負荷が増えるだけでメリットが少ないと感じる企業も多く、現場からの協力も得にくい状況があるようだ。今回お伺いした日本マクドナルドでは、日本版SOX法に対応するためJ-SOXプロジェクトを発足、社内の業務プロセスの把握に邁進しているという。現場の理解を得つつ、前向きにSOX対策に取り組んでいくための心構えとはどうあるべきか、日本マクドナルドでJ-SOXプロジェクトを率いている方々と、日本マネジメント総合研究所の戸村氏に語り合ってもらった。

内部統制最前線(1):東京ガスのERMへの取り組み
内部統制最前線(2):日立製作所の内部統制、After J-SOXへの取り組み

J-SOXプロジェクトへの参画が人材育成や業務改善の契機になる

今村朗氏

日本マクドナルド
財務本部 経理グループ
上席部長
米国公認会計士
今村朗氏

生川治氏

日本マクドナルド
内部監査室 内部監査室長
公認会計士、公認内部監査人、
公認情報システム監査人
生川治氏

友常清氏

日本マクドナルド
財務本部 本部長付
J-SOXプロジェクト IT統制担当
部長
友常清氏

戸村:現在内部統制への対応プロジェクトを進めていらっしゃるわけですが、どのようなスキルを持った方をメンバーとして集めて取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

今村:フルタイムで参加している社員が5人、それから私ともう1人が20%程度の関与だと思います。J-SOXプロジェクトとしては合計で7人ですね。それと米国SOXに詳しい外国人社員をアドバイザーにしています。2007年の9月頃から少しずつ集まり始め、最終的に今のメンバーが揃ったのは2008年の5月頃でした。メンバーの選定に当たっては、もちろん内部統制をうまく進めていくという大前提はありましたが、新たな経験を積んで成長していく人材育成ローテーションの一環であることを強く意識しました。専門的なことについては監査法人さんなどもアドバイザーとして付いていてくださるので、やらなければならないことはおのずと決まってきます。そういう意味では専門性以上に、このJ-SOXプロジェクトで企業全体を俯瞰してもらうことも社員1人1人の大きな糧になると考えています。そのため、内部監査室から移って来たメンバーもいれば、将来は経理部で財務会計に携わってほしいと思うような有望な若手も集めています。

戸村:J-SOXプロジェクトへの参画を人材育成の契機としてとらえていらっしゃるというのは面白いですね。非常に前向きな姿勢を感じます。多くの企業さんに内部統制のお話をうかがいましたが、指名されてしかたなくやっているという人が多いのが現状です。その中で、次のステップに向けたキャリアアップ、スキルアップとつなげて考えていらっしゃるのはすばらしいですね。人材育成が企業理念として根付いているのでしょう。

今村:社風としても、そういうところはあると思います。財務本部としてもどんどんローテーションを進めていこうという姿勢を取っています。会社全体では、ビジネスモデルの変革が一つの大きなチャレンジになっています。たとえば、現在フランチャイズ化を進めていることもその一つです。そうした中で将来を見据え、会社全体を見渡して仕事のやり方をよりよくしていかなければなりません。そして、そのチャンスが今、私たちにはあります。このJ-SOXプロジェクトを通じて全社を横断的に見てゆけるチャンスを活かしたい、このチャンスを生かすことで人を成長させてゆきたいと思っています。

戸村:フランチャイズ化が進むと、内部統制の統一的な運用は難しくなっていきますよね。そこで悩んでいらっしゃる部分もあると思いますが、それを解決するために業務改善を進めていくということでしょうか。

今村:フランチャイズ化は、われわれの将来のビジネスの発展のために重要な戦略の一部になります。そのため、効率的な業務運営や効果的な業務の仕組みを目指し業務改善を行っていく必要があります。しかし、J-SOXプロジェクトは、そういうところを一気にすべて変えていこうと考えている訳ではありません。業務改善というのは、日々の自分の仕事を少しずつ変えていく、その積み重ねだと思います。会社全体がこれまでとは違う方向に舵を切ろうとしている中で、1人1人の意識もやはり変わっていかなければならないと思います。J-SOXプロジェクトでも、それを後押ししていきたいと考えたのです。J-SOXに対応したことによって、やらなきゃいけないことが増えたとか、チェックがひとつ増えて面倒になったと言われるよりも、このプロジェクトが進んだおかげで業務が改善できた、無駄な業務をやらなくてよくなった、と、少しでも感じてもらえるようにしたいですね。

戸村:J-SOX対応を契機にして、人材育成や業務改善の芽を育てていこうとしていらっしゃるんですね。

今村:一つ言えることは、厳しい経済情勢の中、一つのプロジェクト、それも直接的に利益を生まないプロジェクトにこれだけのメンバーを揃えることはなかなかないだろうということです。法律でやらなければならないとはいえ、それなりの人件費もかかるわけですから、プラスαも追求していく必要があります。社外のコンサルタントではなく社員がやるからこそ得られるものは何かを考えると、やはり実務に入り込んで実務を理解して他の社員の業務改善をサポートしたり、メンバー自身の成長を志向するのが重要ではないかと思うのです。
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