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  • 2008/09/22 掲載

内部統制最前線(1):東京ガスのERMへの取り組み(後編)

戸村智憲の対談~内部統制の現状、ERMへの道のり~

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いよいよ日本版SOX法が適用される2009年3月期決算が間近に迫ってきた。上場各社の内部統制に対する取り組み状況は今どうなっているのか、さらにはアフターJ-SOXも見据えて担当者は今一体何をするべきなのだろうか。今回お伺いした東京ガスでは、5年間ERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)推進に取り組んでいる。内部統制を考えるうえでも重要なERMとは何か、取り組みのポイントなどについて、東京ガス 吉野 太郎氏と日本マネジメント総合研究所の戸村氏に語り合ってもらった。

前編を読む

ERM推進には社内の理解・コンセンサスが不可欠

吉野 太郎氏

東京ガス
IR部 リスク管理グループ主席
吉野 太郎氏
(※吉野の吉は下の線が長い旧字です)

戸村:PDCAサイクルが確実に回る仕組みが確立しているからこそ、全社レベルで的確なリスク管理ができるわけですね。そこに至るまでには大変な苦労があったと思いますが、ERM導入を成功に導くためのポイントは何でしょうか。

吉野:最も大切なのは社内の理解・コンセンサスを得るということです。特にトップ・マネジメントの理解と支援は必須条件と言えるでしょう。トップ・マネジメントにERM導入の必要性を十分に理解してもらうことが重要です。さらに社内各部門の理解と協力が欠かせません。実際にERMを行うのは各部門なので、各部門のキーパーソン全員の理解と協力を得ながらERMプロジェクトを推進しました。その際、導入の全プロセスを総合企画部と共同で実施したことも大きなポイントだったと思います。総合企画部は当グループの、いわば“参謀本部”のような存在です。その影響力、情報力、経営感覚は社内の理解と協力を得る上で不可欠なものでした。

戸村:なるほど。トップの理解・支援と参謀本部というミドルの中核との協調で、強力な推進体制の基盤作りができていたのですね。そういった状況は、一朝一夕には築き上げられない企業がほとんどだと思いますが、御社では、どのようにERMへの理解・支援を得ていかれたのでしょうか。

吉野:こうした社内の理解・同意を引き出すには、ERMの必要性・重要性を粘り強く、根気よく説明していくことが大切です。リスク管理が必要かと聞けば、100人が100人とも必要と答えるでしょう。しかし、リスクに対する考え方や捉え方は立場や業務によってそれぞれ違うため、具体論では意見が違ってくる可能性があります。そのため、まずトップ・マネジメントの理解と支持を取り付け、明確な基本方針を作った上で、各部門・関係会社の理解と協力を得るために、説明を十分に行い、ステップを踏みながら慎重に導入を進めました。

戸村:確かに、個別リスクマネジメントは部署ごとで管理対象リスクやアプローチが異なりますし、リスクマネジメントに対する各社員さんの立場によっても解釈が異なりますよね。その点で、御社のポイントは、継続的に粘り強くブレなくERMの必要性を説かれたことと、バラバラになりがちなリスクマネジメントに対するベクトルをひとつの方向にまとめたことにありそうですね。そのほかに、特筆すべきポイントはございますか?

吉野:一気に理想形を求めずに、段階的に導入することも大切なポイントです。当グループの場合は、1年目は準備期間、2年目は試行期間、3年目が本格実施といった具合に、徐々に内容を高度化させながら導入を進めていきました。最初の1年目は、理想形は求めず、可能な範囲でとにかくPDCAサイクルを回しました。1度PDCAサイクルを回してみると、改善すべき点が自ずと見えてきました。2年目になると社内の理解と協力が進み、3年目で定着しました。今では低コストで円滑かつ確実にERMを推進できるようになっています。「小さく生んで大きく育てる」という発想で、徐々に完成度を高めながら取り組んだことがよかったと思います。

戸村:こうした取り組みは、目先の利益だけを求める会社や誤った利益至上主義に陥った会社では難しいかもしれません。一方で、だからこそ、こういったERMの取り組みを継続して行える企業が、多くの方々から信頼を勝ち得ていかれるでしょうね。

内部統制最前線


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