- 2008/06/06 掲載
日立と大阪ガス、フリーアドレス等の生産性向上効果に関する実証実験を実施
実験の結果は次の通り。ホワイトカラーの時間の使い方における問題点は、まずは会議運営。ある組織では会議のダブルブッキングが多く(週あたり4.4時間/人)、そのため会議の参加率が低い(出席率41%)という結果になった。
また、ホワイトカラー社員一人ひとりが同一作業を継続して取り組むことができる時間を計測したところ、電話などの突発的な仕事の割り込みによって、その時間が平均4分未満と短時間であることがわかった。そのほか、「ビジネス顕微鏡」を用いて、自ら積極的にコミュニケーションしている時間と継続して作業に集中している時間を見える化することによって、時間の使い方に対する意識を高め、その改善に役立てられることがわかった。
これらの結果をもとに、大阪ガスでは、会議時間の制限や、参加人数を最小限にするなど、会議運営の改善を実施。また、組織内で一定時間、電話や会話を禁止する「集中タイム」制度や他人に妨げられず業務ができる「集中ルーム」を設置した。
フリーアドレス型オフィスの効果検証と改善施策は、行動観察により、フリーアドレス型オフィスでは固定席型オフィスに比べて、上司との対面コミュニケーションを行っている回数および時間が2倍になることが明らかになった。フリーアドレス型の場合、近くに座る上司と気軽に日常会話や業務上の打ち合せができるため、コミュニケーション頻度が高くなるのに対し、上司と部下の座席が離れている固定席型の場合、コミュニケーションの頻度が低くなることがわかった。また、「ビジネス顕微鏡」を用いてメンバー間の対面してコミュニケーションを行う実態を測定し、「組織地形図」を用いて解析を行った結果、フリーアドレス型では異なる2つのチーム間で垣根を越えた情報交換が行われているのに対し、固定席型では、コミュニケーションがチーム内に限定されるとともに、その頻度も少ないことが明らかになった。
これらの有効性をもとに、大阪ガスでは、フリーアドレス型オフィスを増やす施策を採用したという。
情報の流れの検証と対策は、「ビジネス顕微鏡」により、組織内で情報が伝達される組織ネットワーク構造を分析したところ、部長から発信された情報が、2ステップ(介在人が1名)で約8割の部員に伝達されていることがわかった。さらに、メンバー内で情報伝達のハブとなっている度合い(媒介度)を分析したところ、3人のキーパーソンが存在し、この3人に情報を集めることによって短時間で情報伝達が徹底できる組織であることが明らかになった。
両社は今回の実証実験で得たノウハウをもとに、一般企業へホワイトカラー業務の分析や改善のためのコンサルティングサービスを連携して提供していくとしている。
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