0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
クラウド競争が激化する中、複数のクラウドサービスを組み合わせる「マルチクラウド戦略」を強力に推進するのがOCI(Oracle Cloud Infrastructure)を手がけるオラクルだ。直近ではマイクロソフトのAzure上でOracle Databaseを展開し、注目を集めた。なぜ競合他社のクラウドも積極的に活用するのか。オラクル・コーポレーション グローバルCIO兼OCIプラットフォーム・サービス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのジェイ・エバンス氏とOCIへ移行したベネッセ 執行役員 橋本英知氏が語った。
他クラウドとは異なる進化を遂げるOCI
オラクル・コーポレーション グローバルCIO兼OCIプラットフォーム・サービス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのジェイ・エバンス氏は、現状の多くのパブリッククラウドが直面する技術課題について次のように指摘する。
「クラウドの歴史を振り返れば、まずSaaSが立ち上がり、次に革新的なクラウドインフラが誕生しました。その後、2つの業界は個別に発展し、結果として両レイヤー間の一貫性が欠落することになりました」(エバンス氏)
対してオラクルでは、他のクラウドとは根本的に異なる手法でOCIを進化させてきたのだという。それが、インフラであるOCIと、アプリケーションであるFusion Appsなどの双方の自社開発を通じた両者の“統合”だ。
「これによりインフラとアプリの一貫性を担保したクラウドの提供が可能になっています」とエバンス氏はアピールする。
統合のメリットとして強調したのが、展開先の選択肢の確保だ。事実、OCIはパブリックからガバメント、ソブリン、顧客専用までの全リージョンでのサービス提供を実現している。
また、インフラとアプリの両レイヤーに埋め込まれたセキュリティツールによる、IDやガバナンス、コンプライアンスの統合的な管理・制御を通じて、セキュリティ強化にも貢献しているという。
加えて、OCIのデータ基盤上に構築されたFusion Appsは、OCI上の他のカスタムアプリケーションやデータとも容易に連携でき、拡張性もそれだけ高いという。
なぜマルチクラウド戦略を推進するのか
OCIの現状について、「積極投資によるDWHやサーバレスなどのサービス拡充を通じ、その数は現時点で120に達している」(エバンス氏)という。また2万4000以上の顧客に対して68のリージョンでサービスを提供中とのことだ。
また、OCI上のアプリのユーザー数について、Fusion Appsの月間ユーザー数は2500万人以上、Oracle NetSuiteのユーザー企業数は3万6000社以上、業種別アップリケーションのユーザー企業数は1万社以上と説明した。
そのうえで、OCIのさらなる利用拡大に向けエバンスが注力を表明したのが「OCIのマルチクラウド化」だ。
パブリッククラウドに対する注目の高まりの一方で、実際に移行を完了したワークロードは全体の30%程度とされる。背景にはパブリッククラウドが抱えるレイテンシやパフォーマンス、データレジデンシー、コンプライアンスなどの課題がある。
「対応に向けオラクルでは、お客様が希望する、要件を満たす場所へのOCIの配備をより積極化させています」(エバンス氏)
配備先には各国のパートナー企業やユーザー保有のデータセンターが含まれる。その一環として実現したのが、AzureのデータセンターにコロケーションしたOCI上で稼働するOracle Databaseをサービスとして提供し、顧客がワークロードの実行場所を柔軟に選択できるようにした「Oracle Database@Azure」だ。
ユーザー保有のデータセンターにOCIを配備する「OCI Dedicated Region Cloud@Customer」、パートナー企業のデータセンターに配備する「Oracle Alloy」なども提供済みだ。
【次ページ】独自クラスターで企業のAI活用も支援
関連タグ