- 2007/01/12 掲載
セキュリティと使いやすさを通して様々な人に役立つシステムを作りたい
ビジネスインパクトvol.9掲載
現場の店舗運営スタッフの
効率を大幅にアップ
株式会社ドトールコーヒー 情報システム部 ネットワーク課 三上貴康 電機メーカーにて営業職に携わったのち、 2000年1月株式会社ドトールコーヒーへ入社。 情報管理システム部門にて、 一貫してオープンソース系システムインフラの 管理運営を担当する。 |
─ドトールコーヒーでは、2004~2005年にかけて、大規模な基幹システムの再構築を行ったと伺っています。
三上●以前から長らく使ってきたシステムの老朽化と、一方では各店舗に置かれたパソコン端末のリース期限といった要因がちょうど重なる時期にあたり、ちょうど良い機会なので単に入れ替えるだけではなく、将来にわたって使える時代の先端をいく技術を採り入れようということになったのです。
企画自体が立ち上がったのは早く、2001年には企画がスタートしました。
新しい基幹システムはそれまでのオフコン(AS/400)に代わってオープンシステム化されたシステムと、各店舗の端末をVPNで結ぶもので、私はもともとそちらが専門だったこともあり、ネットワークインフラ全般を担当しました。
─ショップコンサルタント向けのモバイル環境もあわせて構築されたと伺っています。
三上●当社には、全国のドトールコーヒーショップの店舗を回って運営指導にあたる「ショップコンサルタント」という担当者が大勢います。そうした常時社外で活動するスタッフのために、出先から事務処理や連絡、手続きが行えるような仕組みを作ったのです。彼らの仕事場は各地の店舗ですから、単なる事務処理のために本社や営業所に出てくる時間と労力のロスをなくして、その分のエネルギーを本来の任務に振り向けてもらおうというのが狙いでした。
これは自宅にADSL環境さえあれば、会社から支給されたパソコンをつなぐだけで会社のシステムサーバーとやりとりが可能なので、これまでは難しかった現場への直行直帰も可能になりました。また、どうしてもパソコンが使えない事情のある場所では、PHSでもアクセスできるなど、現場の社員の使い勝手を最優先に設計されています。
ビジネス情報を洩らさない
二重三重のセキュリティ対策
─コーヒーショップというコンシューマの多い業種とあって、新システムもセキュリティにはかなり気をつかったと聞きました。
三上●基本的に「お客様の情報を外部に出さない」ことを第一に配慮して構築されています。
当社の場合、お店のお客様がお使いになるポイントカードなどの個人情報を持っていますし、お客様だけでなく各店舗の売り上げやその他業務データが、すべてこの基幹システムのネットワーク上を流れます。その点、VPNならばデータを自社で暗号化した上でやりとりが可能です。また各店舗の端末はWindowsベースのパソコンであっても、アプリケーション側で必要な業務処理しか行えないようにカスタマイズされています。この点でも、誤った操作で情報が外部に流れ出す可能性は絶たれています。
システム運用という面では、すべてのイベントログを取っています。万が一の情報インシデントの際も「何が起きたのか?」、「どれだけの情報が流出したのか?」、「操作したのは誰で何を行ったのか?」を判断する情報が揃っていますので、正確に情報を開示し、対応することができます。
─モバイル環境も多いだけに、万全の備えが求められますね。
三上●そこがもっとも配慮しているところで、もし外出先でノートパソコンが盗難にあっても大丈夫なように、ハードディスクそのものを暗号化しています。担当者全員のパソコンにこの暗号化を施しているので、作業的にはかなり大変なのですが、手間を惜しむわけにはいきませんでした。
ビジネスを大きく伸ばす
コミュニケーションの 支えになりたい
─セキュリティ以外に、自社の情報システムで重視されているポイントは何でしょうか。
三上●やはりコストですね。当社の店舗は全業態合わせて現在1400店舗を越えるため、たとえ1軒あたり1,000円の設備投資であっても、積み上げれば大きな金額になってしまいます。コストに加えては「利便性」です。端末やソフトが使いやすいかどうかが、店舗の作業能率に直結するだけに見逃せないポイントです。そして最後は「安定性」でしょうか。
─貴社のようにリテールで全国展開している企業にとって、やはりITはビジネスの欠かせない推進力なのですね。
三上●モバイルの件でもお話しましたが、「場所を超えたコミュニケーション」が可能になることは、当社の場合特に大きなメリットです。ITによって色々な人がラクに、また効率よく仕事ができるようになります。私自身も単なる"システムのためのシステム"ではなく、「お客様のために」、また「一緒に働く仲間のために」役立つシステムを作っていきたいですね。営業戦略や企画をそれぞれの部門が考え、私たちがその間に立ってコミュニケーションを手助けする。そういうチームワークから、また何か新しいことが生まれてきたら嬉しいと思います。
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