- 2006/10/31 掲載
【最新Webテクノロジー】モバイルメディアの新たな可能性―急成長する携帯ブログの真価とは?
【JANES Wayエピソード2特集】 リモーション 代表取締役社長 鈴木規仁氏
Web2.0の影響はモバイル分野にも確実に波及し、かつモバイルならではの利用形態を活かした新たなサービスが登場してきた。その筆頭ともいえるのが、携帯電話向けのブログサービスだ。リモーションの携帯ブログ「リモログ」を例に、その特性やユーザーの利用傾向について説明する。
リモーションでは2005年の8月より、携帯電話向けのブログサービス「リモログ」を展開している。これはもともと、事業者向けにASPで提供する携帯ブログのソリューションパッケージ「リモログASP」のデモサイトとしてスタートしたものだ。リモログASPおよびリモログの大きな特徴は、他の携帯ブログにありがちな機能限定版ではなく、トラックバックやRSSなどのすべてのブログ機能が携帯電話だけで利用できることである(PCからの利用も可能)。もちろん、絵文字など携帯電話ならではの機能にも対応する。このように携帯専用に設計されたブログサービスはまだ非常に少ない。さらに、ソリューションとして提供されている製品となると、我々の調べでは国内にリモログASP以外は存在しない。
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リモーション 代表取締役社長 鈴木規仁氏 |
この成長の要因の1つには、女性ユーザーの高い支持を得たことが挙げられる。リモログ利用者のうち75%は女性である。また、年齢的には20歳前後の若い世代が最も多いが、幅広い年齢層のユーザーに利用されている。たとえば、四国八十八ヶ所お遍路の記録をリアルタイムで綴った60歳代の方のブログもある。
リモログの利用傾向を見ると、PCのブログとの違いは明らかだ。PCブログの場合は寝る前などに1日の出来事を振り返って書くといったスタイルが多いが、携帯ブログでは思いついたらすぐその場で書くことができるため、1回あたりのテキストは少なめで更新回数が多いという傾向がある。1日に20回更新するような人も珍しくない。リモログではメールによる記事の投稿にも対応しているが、まさに「友達にメールを送るような感覚」で更新できるのが、携帯ブログならではの特徴といえるだろう。
また、携帯ブログは、SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)のように、リアルな交友関係の中で広がりやすいという特性を持っている。たとえば、お正月の時期に親戚がまとめてユーザーになったり、学校の同じクラスの中で一気にユーザーが増えるというケースがある。PCの場合、知り合いに自分のブログを教えたいときにはまずメールでURLを送り、それから相手の意思で見てもらう必要があるが、携帯ブログの場合はその場で画面そのものを直接見せることができるので、リアルな関係の中ではより広がりやすいのだ。
こうしたことから、携帯電話でのSNSの利用も期待は大きい。すでにリモーションでは携帯SNSの開発も進めており、携帯ブログと同様に、自社サービスとASPソリューションの両方で近々リリースする予定である。
今後は海外への進出も
リモログのユーザー増加による知名度向上とともに、リモログASPの導入も急増している。自社サイトへの携帯ブログ導入には、さまざまなメリットがある。携帯ブログならではのユーザーのクチコミによる強力な集客力、リアルな関係の中での広がりは、新規顧客や会員の獲得において有効だ。また、従来のコンテンツ提供型のサイトでも、携帯ブログを導入すればユーザー参加型のサイトにできるため、リピート率の大幅な向上が期待できる。なお、「JANES-Way episode2」のセッションでは、リモログASPを導入した企業が携帯ブログサービスをどのように活用しているのか、実際の事例も交えて紹介する。
リモログをはじめとした携帯向けサービスの今後の展開としては、海外への進出を視野に入れている。たとえば着歌などのマルチメディア系のサービスを外国で展開しようとしても、端末の性能の問題があり難しいだろう。しかし、Web2.0系のサービスでブログやSNSなどのようにテキスト中心のものなら、端末側にはそれほど負担はかからない。FlashやJavaを駆使したコンテンツが再生できない外国の携帯端末向けにも、サービスを展開しやすいと考えている。
これまでPCのインターネットの世界では、ほとんどの場合、日本はアメリカをはじめとした諸外国に後塵を拝してきた。しかし「後追い」ながらも、世界トップクラスのブロードバンドのインフラを普及させたり、Web2.0の分野でもユニークなサービスを作り出していく底力を、日本は持っている。ましてや、日本が先行している携帯電話の分野においては、決して他の国には負けたくないという気持ちは強い。そのためにも、ぜひ我々の携帯向けサービスを世界に向けて展開していきたい。
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