- 2006/09/13 掲載
米IBMの新ソフトウェア。IT担当者が問題解決に費やす手作業の時間を最大80%節約。
【ITアーキテクト】自己修復ソフトウェアが“症状”に基づきIT上の問題を分析
IT担当者が「IBM Build to Manage Toolkit for Problem Determination」の機能を使用することで、ITシステムの問題解決に手作業で費やしていた時間を最大80%節約することができる。このソフトウェアは日本IBMの大和研究所の支援を受けて開発され、システムのクラッシュやパフォーマンス上のボトルネックを事前に察知することを支援する。
現在ITシステムでは、一つのITコンポーネントに技術上の問題が発生すると、数十もの他のエラーが引き起こされ、問題がさらに複雑になるドミノ効果を引き起こすことがある。問題のトラブルシューティングを手作業で行う場合、故障が発生したポイントまで一歩ずつ問題を追跡する必要があり、IT専門家のチームが数時間、あるいは数日間費やす場合もあった。実際、米国の調査会社であるEnterprise Management Associatesは、IT担当者の時間のうち、問題の原因を突き止めるための作業が50~80%を占めているのに対して、修復に費やす時間は15~20%であると推定している。
この新しいソフトウェアはオープンな業界標準に基づいており、アプリケーション開発時にシステム開発者が問題の根本原因を探求することを助ける。システム開発者はこのソフトウェアを使って問題の症状のカタログを作成できるため、経験知に基づいた問題解決が可能になる。この症状カタログは、実質的には自動化された「虎の巻」であり、アプリケーションの導入・実行時に類似の問題が発生した場合、運用担当者がこの症状を利用することで、時間と費用が節約できる。このカタログは症状やソリューションを後から追加し、さらに充実させていくことができる。
東芝ソリューションの首席技監 坂内明氏は次のように述べている。
「東芝ソリューションはマルチプラットフォーム上で展開するさまざまなソリューションをお客様に提供しています。今回の発表により、多くのハードウェア、OS、ソフトウェアにオートノミック・コンピューティング技術を用いた問題判別技術を適用することが容易になると確信しています。当社の統合クラスタソフトウェアClusterPerfect EXもCBEやシンプトン・データベース等のオートノミック・コンピューティング技術に対応し、当社の運用管理ソリューションと組み合わせることで、高可用性と同時に迅速な問題判別を提供していきます」
日本IBMの執行役員-ソフトウェア開発研究所所長、岩野和生氏は次のように述べている。
「2001年にIBMがオートノミック・コンピューティングに取り組み始めた際、私は非常に高い可能性を感じました。既に自己管理型テクノロジーは、その基礎を固める第一段階を終了し、現在、オートノミックの中核技術を要所に取り入れ、ITサービス・マネジメントを中心としたITプロセスの効率化を推進する段階へと進んでいます。このオートノミック技術によって、ITに関するあらゆる問題がほんの数年のうちに、現在と比較にならない速さで解決される時代がくることが予想されます。そしてこの技術は、システムの休止時間を大幅に減少させ、莫大な生産性向上をもたらす可能性を秘めています。」
関連コンテンツ
PR
PR
PR