- 2006/08/30 掲載
沖電気とREIC、「リアルタイム地震防災システム」を大幅改良
【セキュリティ】緊急地震速報の精度向上と直下型地震に対しても対応
特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会(以下、REIC)と沖電気工業の半導体生産拠点である宮城沖電気は、昨年9月末に導入した緊急地震速報を活用した「リアルタイム地震防災システム」を大幅に改良した。このシステムでは現地に設置したP波地震計(3台)を最大限に活用し、緊急地震速報の精度向上および、直下型地震対策に対しても対応を行うという。宮城沖電気ではシステム機能の追加を導入し試験運用を開始した。本格運用は本年11月からの予定で販売も沖電気の関連会社である沖環境テクノロジーを通じて順次開始する。
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リアルタイム地震防災システム概要 |
緊急地震速報は、地震発生時に震源に近い観測点で得られた地震波を使って、震源、地震の規模、および各地の震度を秒単位という短時間で推測し、情報として発表されるものであり、これをさまざまな伝達手段により、主要動(S波)の到達前に利用者へ提供する。
利用者はこれを活用して大きな揺れが到達する前に身の安全を図るなど、適切な対策をとることで地震被害の大幅な防止・軽減が可能になる。しかしながら、緊急地震速報にはいまださまざまな限界や課題も残されており、観測点付近での事故、落雷などノイズによる誤報の発信の可能性や、直下型地震などの震源に近い場所では情報提供が間に合わないこと、さらには地震観測網から遠く離れた場所での地震や大規模地震などでは震源およびマグニチュードの推定値の誤差が大きくなる可能性があるなど、利用者はこういった限界や課題を十分に理解・承知したうえで利活用する必要がある。
「リアルタイム地震防災システム」はシステムA/B、現地P波地震計3台および接点BOX2台から構成される二重化されたシステム。衛星回線と地上回線により二重化された通信回線を用いて、緊急地震速報を受信・解析し地震危険度(最大加速度、余裕時間)を推測、同時に現地P波地震計3台により地震の真偽を確認できる。
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リアルタイム地震防災システム |
それぞれのデータが更新されるたびにアルゴリズムで処理され、危険度判定マトリクスによってあらかじめ定められた制御(緊急放送、ガス薬品遮断、設備緊急停止など)に相応するトリガー信号を出す。これにより、誤報を回避することはもとより、地震危険度推定に係わる精度向上が図れるという。
また、直下型地震などのように緊急地震速報より現地P波地震計による地震検知が先になる場合、現地P波地震計データのみによる推定値から危険度判定し制御トリガー信号を出す。これにより直下型地震にも対応できようになる。「リアルタイム地震防災システム」は緊急地震速報の技術的限界を補った高信頼性システム。緊急地震速報が及ばない海外においてもP波地震計と本システムの設置により、日本と同じような地震防災が可能になると見込まれるという。
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